俳句の添削に学ぶ

TBS系で放送中のバラエティ番組『プレバト!!』の〈俳句コーナー〉が好きだ。
俳人・夏井いつき
さんの添削指導には、ファンも多い。

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夏井いつきさんは昭和32年生まれ、松山市在住。8年間の中学校国語教諭の後、俳人へ転身。「第8回俳壇賞」受賞など。

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「超辛口先生の赤ペン俳句教室」著者・夏井いつき(朝日出版社、2014年12月10日初版第1刷発行)を紹介。

普通の入門書のような俳句の作り方は、ほとんど書かれていない。
芸能人(ほぼ初心者)の俳句を取り上げ、添削によって変容する「言葉の化学変化」を楽しんで欲しいという主旨。


《Q&A》
Q★添削した句の作者は誰か?
A★日々の句会でも、添削は作り替えの提案として議論される。指導者や句座の仲間から自句について様々な添削案が示され、それが自分の表現意図に合致していれば、作者の判断において、その案を自作として採用して構わない。が、提案された添削が自分の表現意図やニュアンスに敵っていない場合は、諸々の提案は推敲のヒントとして拝聴するに留めておくべき。
添削という提案を採用するか否かは、作者自身が自分の意思で決めるべきこと。


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~添削実践例より一部抜粋~

①夏の日の思い出にがしかき氷(長嶋 一茂)
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夏の季語が2つ(夏の日、かき氷)の「季重なり」はNG。
上句の「夏の日」を具体的な映像を持つ語彙に変えたい。
《添削例》
片恋の思い出にがしかき氷
縁日の思い出にがしかき氷
合宿の思い出にがしかき氷
〈季語「かき氷」=夏〉

②移り行く夏の夜空か万華鏡(前田 吟)
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花火を万華鏡に喩えたかった句。「移り行く」が「夏」にかかってしまうのを避けたいので、上句を「ひらきゆく」に添削。
誤読を引き出す要因の「夜空か」の助詞「か」を「の」にして「夏の夜空=花火=万華鏡」という意味が伝わるようにしたい。
《添削例》
ひらきゆく夏の夜空の万華鏡
〈季語「夏」=夏〉

③古き塔照らす月光君想う(吉村 涼)
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※言葉の無駄遣いを省くこと。
「月光」に「照らす」は不要。「古き塔」は「古塔」に縮めることができる。
《添削例》
月光に古塔の影や君想う
〈季語「月光」=秋〉

④行く夏を惜しむ夕日が浜てらす(田原総一朗)
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「行く夏」には「惜しむ」気持ちも内包される。
「夕日」に「てらす」は不要。
《添削例》
行く夏や夕日の浜に一人立つ
行く夏や夕日の浜に我と犬
行く夏や夕日の浜に国憂う
〈季語「行く夏」=夏〉

⑤夕暮れの月が囁く帰り道(蛭子 能収)
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「夕暮れの月」を「夕月」に短縮して、具体的な映像を加えたい。
《添削例》
夕月が囁く坂の帰り道
夕月が囁く妻と帰る道
夕月に暖簾囁く帰り道
〈季語「夕月」=秋〉

⑥涼しさを登り味わう氷水(優木まおみ)
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夏の季語(涼しさ、氷水)が2つの「季重なり」なので、季語を1つ捨てる。
動詞「味わう」と説明せず、臨場感をもって気分を表現したい。
《添削例》
涼しさを登りきてこの水の味
〈季語「涼しさ」=夏〉

⑦滝つぼに向かって白龍まっしぐら(藤本 敏史)
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中8音の字余りなので「向かって」を「向かい」にしたい。
「滝つぼに」を「滝つぼへ」と助詞を変えたい。
※「に」は場所を示す助詞、「へ」は方向を示す助詞で勢いが出る。
《添削例》
滝つぼへ向かい白龍まっしぐら
〈季語「滝」=夏〉


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先日、みごと芥川賞を受賞されたピース又吉直樹さんの俳句は、秀句に分類されている。さすが。

柄のとれた箪笥の中に菫草(又吉 直樹)
〈季語「菫草=春」〉

号令の風となりけり水芭蕉(又吉 直樹)
〈季語「水芭蕉」=夏〉


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共に俳諧連歌から生まれた「俳句」と「川柳」は、性格は異なるが同じDNAを持つ兄弟なので、幾つかの共通点もある。
俳句を学ぶことは、川柳作家にとっても大いに勉強になり、プラスになることだと考えている。

(*^_^*)


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Commented by attainmentofall8 at 2015-07-20 08:27
明快なコメントで面白い番組ですよね。本が出たんですね。添削をみていると川柳にも当てはまることが多く参考になります。
Commented by ringo-utahime at 2015-07-20 09:35
夢修さん、ありがとうございます。
半年以上前に手に入れた本で、ときどき開いては眺めています。

番組は、夏井いつきさんの辛口が人気で楽しいですよね。

("⌒∇⌒")
Commented by h82261765 at 2015-07-20 09:48
へえ 夏井さんて松山の人なんだ。
見事な添削力ですよね。毎回唸っています。
糠漬けでは
家内の郷里の旅館の大女将が先生役、
楽しく見ています。
Commented by ringo-utahime at 2015-07-20 10:01
清展さんもファンなんですね。ありがとうございます。

糠漬けの先生で女将さんも良い味を出されてますよね。
料理の土井先生も大好きです。

あの番組を見てると、活け花も蕎麦打ちもしたくなります。

(#^.^#)
Commented by kojiro-nomama at 2015-07-20 10:24
attainmentofall8 さん生きてたんですね。キャハキャハ!!(^Q^)/゙
りんごちゃん俳人・夏井いつきさんの添削指導を見ていると
凄いと思っていたんですが、やっぱり板書の経験があったのか・・と思いました。板書って一つの技術ですよね。
これは経験した者には負けます。
Commented by ringo-utahime at 2015-07-20 10:35
さくら草さん、ありがとうございます。
黒板・白板に字を書くことを板書(ばんしょ)と言いますが、現代はITを駆使した授業も増えて来たので、板書は減少しているようです。
なんせ、二宮金次郎像も本ではなくスマホを手にする時代ですからね。

( ゜o゜)
Commented by kojiro-nomama at 2015-07-20 11:43
私は連れちゃんが、夏井いつきさんのような
お仕事をしていたので、たまたま同一校になった僻地校
(これは大昔の事)で板書する連れちゃんの姿を見ました。
何時も大した字も書ない連れちゃんが、とても上手くチョークで書いていたので「やるじゃん♥」とつぶやきました。余分なことですが、この時は給与や諸手当も現金支給の時代でしたので(私のお仕事・資金前渡職員Ψ(´д`)Ψヶヶヶ・・・ )が
給与支給するとき印鑑を持って並んで私から給与支給を受けていた連れちゃん!!そして自宅で袋ごっそり私から巻き上げられて・・(男性ってカワイソウ・・)愚息はどうなんだ!!
なんて決して思いません。 ̄m ̄ ふふ
Commented by h82261765 at 2015-07-20 13:02
金次郎とスマホの川柳は
アメブロの明日更新分に詠んでいますよ。
Commented by チェリー at 2015-07-20 13:25 x
今日は。

あの俳句の先生、何でもズバズバ言うけど、それが面白いですよね。
ある大物男性タレントに
「いっちゃん」と言われて、
「馴れ馴れしく呼ぶな!」と怒っていましたが、それが可愛くて俳句に親しみが湧きます。

自転車組、雨にも風にも負けず頑張りましょうね。
Commented by synjyoko at 2015-07-20 13:36
一度見たいと思いながら、まだ見ていませんでした。この先生に似ていると言われたこともあります。確かに勉強になりますね。
Commented by ringo-utahime at 2015-07-20 17:39
さくら草さんが現役の頃は、お給料も現金手渡しで大変でしたね。ボーナス時期は、封筒が立ったことでしょう。
今は便利になったけど、世知辛いし、味気ないこともいっぱいありますよね。
古き良き時代だった気がいたします。

f(^_^;
Commented by ringo-utahime at 2015-07-20 17:42
清展さんのブログ、毎日、楽しみに拝見させていただいておりますよ。
時事吟もお得意なのが、羨ましいです。

(^-^)/
Commented by ringo-utahime at 2015-07-20 17:50
チェリーさん、夏井いつきさんの竹を割ったような性格が気持ち良いですよね。
あの番組のおかげで、俳句人口が増えているのではないでしょうか。

自転車用の雨具(レインポンチョ)の良さそうなのを見つけた(友人のお薦め品)のですが、残念ながら今まだ「売り切れ」状態なんです。そのうちに手に入れたら、ブログで紹介いたしますね。

(^o^ゞ
Commented by ringo-utahime at 2015-07-20 17:57
紅雀さん、ぜひ番組をご覧くださいね。
いつもお着物の夏井いつきさん、言われてみれば雰囲気が紅雀さんに似ているような気もいたします。
辛口だけど添削に愛があるのが解るから、人気があるんでしょうね。

(^∇^)
by ringo-utahime | 2015-07-20 02:50 | 書籍 | Comments(14)