「川柳番傘9月号」
2015年 08月 31日
144ページ。
表紙絵は「古城の月」。(高岡秀造・カット)。
~同人近詠(自選)より一部抜粋~
異端児の空の高さよ星月夜
老婆心すててショパンに溶けている
(都城/主税みずほ)
過去語る小さな嘘をちりばめて
寄せ返す波に己を問うている
(宮崎/岩崎 哲)
大小は言わない花の美しさ
生きていく薬と毒を見極めて
(宮崎/中武 重晴)
不揃いのお握り病の母に置く
お泊まりと決まれば孫の大暴れ
(宮崎/西岡 南風)
九条へ隊列をする紙の兵
付いて来ただけで業火に包まれる
(宮崎/間瀬田紋章)
満塁になって気付いた後がない
満塁のチャンスを潰す向かい風
(薩摩川内/石神 紅雀)
新涼のさあ積ん読の一ページ
短針はそろそろ夏の果てを知る
(福岡/冨永紗智子)
満月を蹴って忘れることにする
群れたくてチューブトップは黒にする
(佐賀/真島久美子)
その先はクライマックス滝となる
回春のサプリメントに入れ揚げる
(奈良/菱木 誠)
~誌友近詠(住田英比古選)より一部抜粋~
日が昇る今日の秘策を練りながら
幸せはこういうことか茶漬けめし
(宮崎/永友 淳子)
面舵も過去を踏まえて戦せず
世の乱れ昼寝中かな神々も
(宮崎/自流 譲)
脇役に徹した人のいい笑顔
友達のプラス志向に励まされ
(宮崎/中武 弓)
平静を装いながら爪を噛む
玉手箱開けた男の不整脈
(薩摩川内/春田あけみ)
眼に生気命の泉甦る
曲がり出す苦節が語る妻の背
(宮崎/甲斐 碌詩)
更年期言い訳にする秋のバラ
一筆箋寡黙な花にあこがれて
(宮崎/さわだまゆみ)
買い物難民団地始発のバスが出る
80の幸せラジオ体操日に2回
(宮崎/冨田 博)
照明をおとせば君も美しい
シャツにコロン加齢夫婦の身だしなみ
(鹿児島/馬場ナオミ)
再々々までは数えた手術5度
手術慣れなんてないです絶対に
(鹿児島/松本 清展)
~前月号近詠鑑賞「同人の部」(高東八千代選)より一部抜粋~
復興へユンボの爪のフル稼働(西村 正紘)
砂煙あげて姑さんやってくる(真島美智子)
~前月号鑑賞「誌友の部」(安西 廣恭選)より一部抜粋~
八月と向かい合ってる終戦日(川崎 敬女)
爆心地平和を願う蝉時雨(永友 淳子)
被爆二世まで十字架を背負う戦(松本 清展)
~課題吟「透ける」(竹岡 訓惠選)より一部抜粋~
心根が服に出ているシースルー(西岡 南風)
夏痩せの静脈透ける母を看る(森園かな女)
はったりの男の嘘が透けている(菱木 誠)
透明な水に誘われ溺死する(横尾 信雄)
やすらぎと思う男の洗う米(真島 清弘)
~各地句報7月句会(森口 美羽選)より一部抜粋~
《入来わくわく番傘》(あけみ報)
戦争の沼に右腕置いたまま(紅雀)
尖らせた芯は妥協を許さない(あけみ)
一本の線であなたを削除する(芙蓉)
線を引く気になる奴の名の上に(孤遊)
そもそもはこんな些細な導火線(清展)
青くさいほどまっすぐな正義感(まりん)
《宮崎番傘》(九州男報)
再婚はしないと決めた子の寝顔(敬女)
脳外科医ミクロの技を通過中(みずほ)
うるう秒まばたきほどのプレゼント(千枝)
再婚のリスク知らないブーケ抱く(紅玉)
再婚に臆病になるドアの鍵(みなみ)
足元で蠢くものに気づかない(あけみ)
子供部屋に火花の散った跡がある(紋章)
年輪に黒い火花の跡がある(のりとし)
イケメンに火花飛ばして火傷する(節子)
年寄りもスパークしたい夜がある(九州男)
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力んでいたんかな?
誌友近詠欄(住田英比古選)は、やはり厳選になってるようですね。巻頭作家を含め見開き頁が5句入選で、あとは3句・2句入選が殆どです。
高い年会費を支払っておられる同人近詠の入選に重きを置く方針なら、それも仕方ないかなあと思う私ですが……。
(^_^;)
短歌のアララギでは、同人昇格は非常に狭き門らしく権威があるそうです。その上で、同人と誌友の年会費は同じ(月額1000円程度とか)と聞いたので、素晴らしいと思いました。本来、そのような形であるべきなのではないでしょうか?
σ(^_^;)?
不思議に魅力のある句をサラリと詠まれる方ですね。
※秋雨前線はうちの桜子ちゃんには、とっても恵の雨になっています。
何時も速やかな「ブログ更新」頭がさがります。