カテゴリ:川柳誌( 71 )

宮崎番傘川柳会(間瀬田紋章会長)発行の
「川柳みやざき春季号(169号)」を紹介。
44ページ。

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◆巻頭言
宮崎の文化(間瀬田紋章)


◆近詠『尾鈴集』(高峰 桂介選)〈36名参加〉より抜粋

彩りと色子どもながらの曼陀羅華
ことばことば人間を生む詩を生む
(宮崎/西岡 南風)

新年の風切り刻むテロリスト
聖地巡礼ポケモンGOと初茜
寒ぼたん愛でて独りの雑煮椀
スッピンで笑う美魔女の寝正月
恵まれていて情のない黄水仙
肩書を抱いてハートのないおんな
思い出になるまで返す砂時計
究極の親孝行へ宇宙葬
(宮崎/さわだまゆみ)


餅焼ける匂いの中に愛あふれ
初孫の笑顔大吉より勝る
(宮崎/間瀬田紋章)

捨てきれぬ煩悩と行く遍路みち
十円玉あれば弾んだ昭和の子
(宮崎/江藤九州男)

冬銀河小さな椅子を置いておく
頼られて頼って太い毛糸編む
(宮崎/中武 弓)

西陽から前向きの色選っておく
立ち直る心の傷とバイキング
(都城/主税みずほ)

帰る子に長ネギの土かけて待つ
明け方の神楽は客も神と舞う
(川南/甲斐 雅人)

子沢山物干し竿に有る喜劇
勝敗はもうついてます妻笑顔
(宮崎/馬場さだお)

穏やかな時が流れる経の声
甘い誘い罠の話と知りながら
(宮崎/日高 賀邁)

ひとつだけ覚えた芸に救われる
芸術を語るに髭をたくわえる
(薩摩川内/石神 紅雀)

除夜の鐘は騒音煩悩溢れだす
飽食の舌が刺激に飢えている
(宮崎/棧 舜吉)

待ちに待ったコンサートへと春コート
切り取った景色の中にある居場所
(宮崎/七條 美千)

断捨離で狂い始めた砂時計
やり残しがあるから生きる前を向く
(宮崎/太田ちかよし)

冷め過ぎたカレー離婚のプロローグ
噛みしめるスルメ親父が蘇る
(宮崎/河野 芳柳)

古里の道疎くなる八十の杖
老友の青春気取る年賀状
(宮崎/柴崎 幸風)



◆私の風〈エッセイ〉

港(金井 一光)

新しい風(佐藤こうじ)



◆第37回 課題吟


【手帳】  吉井 楼太選より抜粋
入選
介護した手帳に母のマルとバツ(甲斐 雅人)
空白の手帳きままな定年後(桜木 えり)
誕生日みんなで覗く母子手帳(高峰 桂介)
母子手帳の魔法おんなを強くする(さわだまゆみ)
何年も同じ手帳で足りている(石神 紅雀)
ボロボロの骨を抱いてる古手帳(西山なずな)
破られた手帳の箇所に在る火種(太田ちかよし)
佳作
サクラ前線手帳のメモを染めて行く(主税みずほ)
過去からの手帳が胸をノックする(中武 弓)
今日という手帳にどんな絵を描こう(植田のりとし)
特選
欲も悟りも白い手帳が喋りだす(西岡 南風)
軸吟
過労死の責を糺している手帳(選者)

【さらり】 さわだまゆみ選より抜粋
入選
黒帯はさらりと短所攻めてくる(柴崎 幸風)
お誘いをさらりとかわす自惚れ屋(桜木 えり)
舌三寸さらりと躱し切り抜ける(七條 美千)
憎しみをさらりと流す男の背(佐藤こうじ)
小悪魔はさらりと嘘を言って退け(三輪 治夫)
弱音などさらりと吐いて酒にする(石田 酎)
佳作
愛という言葉をさらり投げてくる(間瀬田紋章)
意を決しさらりと書いた離縁状(太田ちかよし)
縁談をさらりと躱す社のホープ(やすの喜宏)
K点をさらりと越える恋がたき(植田のりとし)
特選
忠告をさらりと言える友がいる(南村のりお)
軸吟
悲喜劇をさらりと閉じる訃の知らせ(選者)


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by ringo-utahime | 2017-03-11 17:30 | 川柳誌 | Comments(2)

「川柳番傘3月号」

番傘川柳本社(大阪市北区)発行の「川柳番傘3月号」を紹介。
138ページ。

表紙絵は「菜の花畑」。

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~同人近詠(田中 新一選)より抜粋

《巻頭》
笑わせているのに笑えない喜劇
すっきりと別れ上手な鬼の面
(飯塚/坂本 喜文)

心配もそこそこあるがよく眠る
弱点をさらしサイコロ振ってみる
(別府/小代千代子)

図太く生き抜いて泣きながら笑う
全てを失っても青空がある
(香川/安田 翔光)

私を裸にします雪明かり
意地悪な言葉は風にしてしまう
(宮崎/中武 弓)

冥福を祈ってみても風は風
翼などいいから子育てをしよう
(佐賀/真島久美子)

生きようともがいて不意に来る傘寿
真っ白な飯から香るありがたさ
(熊本/黒川 孤遊)

トンネルを抜けて一気に国訛り
計算がゆれる尻尾の先ゆれる
(福岡/冨永紗智子)

脚本に野望を足して語尾渇く
アンダーライン昭和の風を宿します
(都城/主税みずほ)

子の話だけで別れためぐり会い
神々の歩いた道を登山靴
(宮崎/中武 重晴)

痛み止め飲んで新年やり過ごす
春嵐もう許されぬ恋の種
(宮崎/間瀬田紋章)

そんなこともあるさと言われ生き延びる
服を脱ぐおんなの踵美しい
(薩摩川内/石神 紅雀)




※私は、久し振りに巻頭次席に掲載していただいた。


~誌友近詠(森中惠美子選)より抜粋~

《巻頭》
君となら転んでみるか春の坂
ほほ笑んで母は夕日に溶けました
(大阪/桑原すず代)

母さんの遺影が笑う雛飾り
西行塚の桜に会いにゆく彼岸
彼岸桜母恋しいと泣いている
バッカスに翻弄された父の悔い
仲直りの姉妹を包むあずき飴
ラーメンで仕切り直しをするおんな
(宮崎/さわだまゆみ)


在りし日の祖父母はでんとして柱
突っ走る赤信号のように恋
(鹿児島/馬場ナオミ)

酸欠にならないうちに遊びます
鏡から罪のありかを見せられる
(薩摩川内/春田あけみ)

想い出がポツリポツリと冬帽子
遠い昔指切りをした冬の駅
(大牟田/山下 華子)

老いてゆく君がこんなに愛おしい
ガンバラナイこれも一つの選択肢
(福岡/平本つね子)

花野ゆく母にはきっと南風
うたかたの命を惜しむ寒昴
(札幌/小林 宥子)

支援する側に戻され靴みがく
ジョーカーを引いてしまった星条旗
(宮崎/江藤九州男)

決別ができぬ彼岸のなごり雪
独り住みパントマイムに暮れる部屋
(宮崎/永友 淳子)

免許証返して旅の軽い脚
歳月に疵の記憶はついてくる
(宮崎/日高 賀邁)

こだわりも嘆きも包む里の風
不器用だからこそ母が愛おしい
(宮崎/肥田木聞明)

厄を背負う今年の干支はお人好し
逝く鶴が余命継いでと哭く出水
(鹿児島/松本 清展)


◆課題吟「こだわる」(宮崎/主税みずほ選)より抜粋
雑草の意地がこだわりみせてくる(肥田木聞明)
こだわりのジビエに逢える雪の宿(森園かな女)
母さんがまだ譲らない仕舞風呂(平井 義雄)
ミクロンに拘りがある町工場(井芹陶次郎)
朝駆けの事件を綴る記者の手記(原 馨)


◆イメージ吟〈No.17〉(大阪/西 美和子選)より抜粋
石垣の割れ目の涙息をする(富田 博)
四次元へ行き来できない壁がある(日高 賀邁)
認めあい細い絆に身を寄せる(冨永紗智子)
わたくしがわたくしでなくなる恐れ(馬場ナオミ)
恋心忘れ前頭葉乾く(真島久美子)
いのち渇いて核心までが不明です(主税みずほ)
こんな顔ですが笑っているつもり(藤本 秋声)


◆各地句報1月句会より抜粋
《宮崎番傘》
陣痛なんて子の可愛さに比べれば(紅雀)
線引きを違えて着地あみだくじ(舜吉)
バチバチの値踏み女の初対面(敬女)
痛いとこつつき合っても夫婦独楽(こうじ)
ご破算の出直しをする鶏一羽(美千)


◆友の会「スピード」(名古屋/鍋島 香雪選)より抜粋
ネギ刻むスピード嫁にまだ負けぬ(永友 淳子)
生活のスピード落とす介護の灯(さわだまゆみ)
スピードを落として今を見極める(肥田木聞明)
なぜ急ぐ自転に任せ生きようよ(富田 博)
スピードで小型力士が立ち回る(谷口 尚)


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by ringo-utahime | 2017-03-06 23:45 | 川柳誌 | Comments(0)

「川柳番傘2月号」

番傘川柳本社(大阪市北区)発行の「川柳番傘2月号」を紹介。
146ページ。

表紙絵は「白梅」。

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~同人近詠(田中新一選)より抜粋~

《巻頭》
言い訳を雪に呟きまだ独り
病身の粥一碗に神宿る
(門真/坂本星雨)

捨てる力生きる勇気の顔になる
遅くないここはおんなの隠し味
(別府/小代千代子)

大やけどするワタクシの好奇心
わくわくと不幸話を聞きに行く
(佐賀/真島久美子)

難題を黙って飲んだのは女
山の端に夕日すとんと立ち話
(薩摩川内/石神 紅雀)

ネットカフェ孤独が深い25時
無念にも五欲の一つ消えました
(福岡/冨永紗智子)

借りみんな返したような富士登山
忠告を噛み締めながら見る夕日
(宮崎/中武 重晴)

悔しさにシャリシャリシャリと霜柱
着膨れた心を少し脱ぐことに
(宮崎/中武 弓)



~誌友近詠(森中惠美子選)より抜粋~


《巻頭》
胸の奥流れつづける里の川
また明日があるさと夕陽あたたかい
(熊本/原 萬理)

賞味期限切れて戻ってきたあいつ
信念が行方不明になって酔い
(宮崎/江藤九州男)

母の死をまだ受け入れぬ冬銀河
ベテランの寡婦を自負する冬花火
ぼやき酒くるむ場末の割烹着
自信過剰と欲の深さにやけどする
ジグソーパズル蹴飛ばしている離婚劇
(宮崎/さわだまゆみ)


初めての味噌汁妻は笑いだす
核心を突かれおどけてはぐらかす
(宮崎/日高 賀邁)

君なしでは生きてゆけぬとキリギリス
ひとつ灯の下でそれぞれ物思い
(鹿児島/馬場ナオミ)

北国の月はしんしん冷めたかろ
迷いですかゆっくり月が昇りくる
(薩摩川内/春田あけみ)

平穏なひと日を信じ紅をさす
如月の川が蛇行を許さない
(宮崎/永友 淳子)

感謝して明日に託した木守柿
子還りの母に優しい杖となる
(宮崎/肥田木聞明)



◆課題吟「睨む」(埼玉/青木 薫選)より抜粋

私の睨んだ人だ狂いなし(山下 華子)
三度目の遅刻みんなの目が痛い(馬場ナオミ)
寒風に負けじと睨む奴凧(平本つね子)
新型を睨み中古で我慢する(中武 重晴)
雲行きを睨んでやおら打って出る(安田 翔光)
働き過ぎを一番星に睨まれる(冨永紗智子)
夕焼けを睨み明日を読んでいる(真島 清弘)
原発の行く末睨み空と海(さわだまゆみ)
睨めっこ妻に全敗しています(鈴木 咲子)


◆イメージ吟〈No.16〉(大阪/西 美和子選)より抜粋
温暖化やがてこの木も絶滅種(太田ちかよし)
樹木にも大器晩成型がいる(松本 清展)
日本の森がこんなんじゃ困ります(横尾 信雄)
簡単な答えでしたね風は風(真島久美子)
千年を目指す若木の逞しさ(安田 翔光)
木の匙が母を童女へ巻きもどす(さわだまゆみ)
丘陵に夫婦の起点蘇る(日高 賀邁)
背伸びして浮いていたのは僕なのか(平本つね子)
太陽がもうすぐ出ます根っこから(坂本 常意)


◆各地句報12月句会より抜粋
《入来わくわく番傘》
迷信をひゅいと跨いで式挙げる(紅雀)
力量はここまでと知るペンの先(あけみ)
跳び箱にまず跨がって明日をみる(南風)
この線を越えると蝶になるらしい(孤遊)
水引いたあとの荷物が下ろせない(清展)
《宮崎番傘》
ひとりっ子肩に重たい介護持つ(せつこ)
押入れに戦後の暮らし置いたまま(喜宏)
終章は天に舞いたい花吹雪(敬女)
触るなと言いつつ握る介護の手(九州男)


◆友の会「方角」(京都/藤本 秋声選)より抜粋
建前の席で方角気にはせぬ(永友 淳子)
吉方を気にして決まらない進路(さわだまゆみ)
旋風方位決まらぬ風見鶏(富田 博)
方角を信じて歩き出す仲間(肥田木聞明)
あの世への迷路方角まちがえた(松本 清展)
逆方角今日も見ている風見鶏(太田ちかよし)



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by ringo-utahime | 2017-02-04 17:30 | 川柳誌 | Comments(0)

福岡市の「川柳くすのき新春号」(120号)を紹介。
43ページ。

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◆楠の会30周年記念大会
《大会特選句》


「タッチ」 楠根はるえ選
筆先のタッチ匠のただ無口(間瀬田紋章)

「タッチ」 渡邊 桂太選
神の手に触れて余命を受け入れる(緒方 章)

「わくわく」 石神 紅雀選
わくわくと遺言状を書いている(松永 千秋)

「わくわく」 西村 正紘選
風を聞き海鳴りを聞き旅にいる(黒川 孤遊)

「窓」 平井 翔子選
戦争が終った窓を開け放つ(渡邊 桂太)

「窓」 黒川 孤遊選
十階の窓十階の風匂う(古野つとむ)

「流れ」 松永 千秋選
月曜も火曜もみんな流された(加賀田干拓)

「流れ」 西岡 南風選
瀧になる水に覚悟は出来ぬまま(古野つとむ)




◆新樹抄(秋季号) 渡邊 桂太 推薦と鑑賞より抜粋

戦艦が菊の御紋を抱いて寝る(井上 俊一)
六法に愛の一文字あったなら(田代はんざき)
公転も自転も無限夏の空(山内 澄)
遠心力信じる自転車とわたし(冨永紗智子)



~近詠自選句抄「新樹」より抜粋~

レントゲン心の傷もくっきりと
デジタルに取り残されている気楽
(佐賀/横尾 信雄)

じょんがらのライブコスモス青い空
恋をしたらしい息子がまぶしいぞ
(鹿児島/石神 紅雀)

寄り道は時々します老いの戯画
九条の視野に迫って来たほたる
(福岡/石田 酎)

鳥になり空を飛ぶ夢見た記憶
任解かれ日々の暮らしを持て余す
(春日/内野童里夢)

手鏡に浮かぶ女の曲り角
震度七もう修復の出来ぬ仲
(北九州/楠根はるえ)

一円のお釣りでもやもやが消えた
足の裏なでると過去の女ひとり
(熊本/黒川 孤遊)

代読も声詰まらせる名弔辞
国境を越えてよろずの神ツアー
(太宰府/小池 一恵)

ときめきの付箋を見失う秋雨
歳時記を抱きしめながら黄昏れる
音のないテレビ眺める冬の虚無
泣くことを忘れてからの蕁麻疹
デリカシーのない友だちを棄てられず
(宮崎/さわだまゆみ)


銃口へ理不尽の火が詰めてある
B面の女を生きる安堵感
(都城/主税みずほ)

言い訳はしない黙って腹を切る
礼状を読む途中から詰まる胸
(佐賀/西村 正紘)

そぞろ行く電飾の町虚無の町
年おんなテレツクテンと舞い終える
(福岡/平本つね子)

踏んばれる所で咲こう肥後椿
錆びていく脳と闘う予定表
(荒尾/松村 華菜)

残り火がくすぶっている日記帳
肩書きをいまだ書いてる名刺裏
(福岡/山下 唱悦)

いつまでも母が手を振る部屋の窓
タッチする指が絡んでからのこと
(福岡/萩原奈津子)

一本のラインを引いたのはわたし
熟成のワイン明日を裏切らぬ
(福岡/冨永紗智子)


◆課題吟「光」 北村あじさい選より抜粋
一条の光を生んだ会議室(石神 紅雀)
生き様を語ると光る師のことば(石田 酎)
光るものいっぱいつけてなお孤独(河野 成子)
スーパームーンに心の裏をのぞかれる(倉本 智子)
鉛筆が光る書きなさいと光る(黒川 孤遊)
月光が癒してくれた失意の日(山下 唱悦)
日の光モネは宇宙の色で描く(横尾 信雄)
飢えてなお眼光にある深い慈悲(主税みずほ)
〈佳作〉
ボランティアの手話から咲いた恋光る(さわだまゆみ)
逆光に立って本心さらさない(平本つね子)
海の底わたし発光しています(萩原奈津子)
〈秀句〉
背水の陣が男を光らせる(千代 八斗)
草原の光を浴びて脱皮中(馬場ゆうこ)
〈軸吟〉
万物の放つ光に生かされる(選者)



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by ringo-utahime | 2017-01-08 23:50 | 川柳誌 | Comments(4)

「川柳葦群」第40号

「川柳葦群」第40号(柳川市・梅崎 流青 編集発行)を紹介。
44ページ。

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◆葦の原推奨作品(梅崎 流青選)より抜粋

水のない川が流れている枕(荻原 鹿声)
回転木馬揺らし戦争したむかし(土居 哲秋)
人を売る指しなやかに強かに(木本 朱夏)
凍てる夜は又三郎が戸をたたく(小林 宥子)
正体がバレないように笛を吹く(夏 夕子)
他愛ないことを話して雨になる(山部 牧子)
わがままに生きて孤独の終身刑(さわだまゆみ)
カタカナでしゃべると唇が渇く(青砥たかこ)



~「川柳葦群抄」より抜粋~

スペアキー貰って悩む親密度
振り出しに戻る覚悟に紙オムツ
(郡山/山下 和子)

夕焼けよ貧しき過去は追わぬとも
老人が流されていく赤い河
(札幌/小林 宥子)

定型から外れてみたい茹で卵
老い先を見つめる風の中のバラ
(和歌山/木本 朱夏)

傷だらけ別れてからの海の色
石女や骨の髄まで女です
(福岡/清野 玲子)

誰の手も垢にまみれているでしょう
人間の舌はだいたい二枚ある
(中津/和才 美絵)

退屈を蹴飛ばす薔薇のボランティア
リハーサル通りに行かぬ介護録
島の夕日 企業戦士の骨を抜く
プライドを脱いで専業主夫の道
戦争の好きな神様いる不思議
(宮崎/さわだまゆみ)


風掴むために乗り込む観覧車
生卵握り微熱があるらしい
(栃木/荻原 鹿声)

風が来て遊ぼうと言う昼下がり
正直に白いご飯が炊き上がる
(柳川/吉開 綾子)

百分の一も分かっていない胸
オレンジの屋根楽しそう哀しそう
(佐賀/真島久美子)



◆前号「川柳葦群抄」鑑賞(新家 完司)

コーヒーの香の線香を焚く盂蘭盆会(さわだまゆみ)
蝉しぐれの中に葬る朝の棘(長井すみ子)
生き残ることにも疲れ誤字脱字(中村 鈴女)
百年も前のおとこに恋をする(柴田 美都)
夕焼けが淋しがり屋を染めている(大屋 夏子)



~近詠「葦の原」(梅崎 流青選)より抜粋~

鍵かけて人間不信くり返す
室生寺の鐘切々と風に鳴る
(糟屋/中村 鈴女)

走り過ぎると戦争が近くなる
白紙では呉れない死亡診断書
(津山/土居 哲秋)

せかせかと生きて踵を踏みつぶす
嫋やかに夜をまとって逢いに行く
(和歌山/木本 朱夏)

さよならと小声で去った雪女
ほどほどの馬鹿になりたや仏さま
(札幌/小林 宥子)

ハンカチが危ない色に染まってる
とりあえず笑っていよう冬いちご
(福井/奥村美枝子)

小さめの傘でひとりは濡れている
面取りをすれば言葉も丸くなる
(京都/宮原 せつ)

シュレッダー恋の終わりはいさぎよい
感情線伸ばす妬心のふたつみつ
(札幌/夏 夕子)

風船の一つがかえらない広場
地雷原誰も気づかぬ振りをする
(福津/長井すみ子)

秋の陽はもう短編を書き終えて
水たまり一期一会の雲がゆく
(大和高田/板垣 孝志)

耳鳴りの季節よ今日も冬籠り
弾け散るまつりの後の虚ろかな
(熊本/中川しのぶ)

人のいい下駄の鼻緒は切れたまま
星の位置貫き通して無一物
(奈良/山部 牧子)

約束は誰ともしない淋しがり
平凡な幸せ傘を買いました
(筑後/木村 翔龍)

充電をし過ぎて弾まないハート
別れ話聞いて煮つまる豆腐鍋
問題点見て見ぬふりの自動ドア
スーパームーンゼロの私を曝け出す
わがままに生きて孤独の終身刑
卵かけごはん独りのクリスマス
泣きたい気持ち笑い飛ばして赤ワイン
(宮崎/さわだまゆみ)


擦り切れないようにときどき空をみる
恋人未満こころを満たす絵が画けぬ
(岐阜/堀 久美子)

極月のくちびる紅く紅く塗る
わたくしが流れていった冬の川
(福岡/柴田 美都)

鍵つける日の哀しみと悔しさと
また爪を汚す優しくなる度に
(佐賀/真島久美子)

お喋りが過ぎてアワダチ草の悔い
一匹のヒト科になってゆく枯野
(和歌山/佐藤 倫子)

褒められた今日を抱きしめ生きていく
ジェラシーの鋏錆びてもいいんだよ
(荒尾/松村 華菜)

ネガティブを描く二色のクレヨン画
空想の中を泳いでいるピエロ
(松江/石橋 芳山)

わたくしを解毒してゆく空の青
一匹で生きる男のやせ我慢
(朝倉/緒方 章)

唇だけで満たされましょう白い髪
美しいもの洗っても黒い水
(鹿児島/石神 紅雀)

やんわりと妻が背を押す応援歌
ちぎれ雲人恋しくて恋しくて
(福岡/石田 酎)

さりげなくサヨナラ言っていた友よ
歩きだす別の男が胸にいる
(宮崎/西岡 南風)

冬ざれへ色鉛筆の温い絵だ
オリオンを覗く眼鏡で世を渡る
(都城/主税みずほ)



◆前号「葦の原」鑑賞(大西 泰世)より
未使用の青空ここで出そうかな(清水美智子)
どの指も叛くきっかけ待っている(長井すみ子)
悲しいねすぐにゴメンナサイと言う(真島久美子)
音もなくヒトの毀れてゆく気配(村上 久美)
あやとりを手繰ってふる里へ帰る(柴田 美都)
鉛筆を削ろう愛が届くまで(弘津 明子)



◆課題吟「開く」(小林 宥子選)

満開の桜わたしは旅に出る(平井 翔子)
胸襟を開いてからの冬ごもり(中川しのぶ)
玉手箱開く勇気を試される(太田ちかよし)
四次元の扉を開けてから独り(佐藤 倫子)
 自動ドア開く疑うこともなく(堀 久美子)
 愛犬にだけ心開いている戦士(さわだまゆみ)
 認知症の母が開いた別世界(三宅 保州)
 いたずらな風が開いた自動ドア(選者)


◆課題吟「鈴」(山口由利子選)

信じよう心の中で鳴らす鈴(肥田木聞明)
朝帰り詫びているのか猫の鈴(太田ちかよし)
迷路から出るまで母は鈴を振る(楠根はるえ)
亡き母の根付けの鈴と旅に出る(さわだまゆみ)
乳母車手さぐりの世を突き進む(主税みずほ)
 贖罪の遍路の鈴が澄んでくる(楠根はるえ)
 居酒屋に潜ると首の鈴が鳴る(石橋 芳山)
 修験者の目にも愛らし彦の土鈴(選者)


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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by ringo-utahime | 2017-01-06 15:15 | 川柳誌 | Comments(0)

「川柳番傘1月号」

番傘川柳本社(大阪市北区)発行の
「川柳番傘1月号」を紹介。190ページ。

表紙絵は「松に富士」。

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第2回 水府賞
笹倉 良一(奈良市)

手で書いた丸は人間臭くなる
生き方は自由逝き方は不自由
振り出しに戻って白になりきろう

第2回 番傘賞
菊地 良雄(横須賀市)

守れない約束ばかりしたい恋
辞退するつもりで待っている叙勲
ラストダンス男が貴重品になる

第3回 磯野いさむ賞
土居 哲秋(津山市)

今日も掌を合わせて午前五時の水



◆年間秀吟抄より

泣け笑え喜怒哀楽と踊らんか(黒川 孤遊)
バラの棘笑い転げているのです(真島美智子)
世渡りの下手さを恥じることはない(安田 翔光)
南風北風生きていく力(中武 重晴)
生き下手の握り拳に春が来る(中武 弓)
トンネルを抜けると次は春の駅(平本つね子)
忠告を無視した悔いが付きまとう(日高 賀邁)


◆各地句報秀吟抄より
大根に君の温みもしみわたり(入来わくわく/とよ子)
踏ん切りがつかない愛を茹でてみる(熊本お茶の間/孤遊)
隅っこで無欲装うコップ酒(宮崎/桂介)
控えめに暮らそう天も味方する(入来わくわく/いさ子)
限りなく薄味になる妻の愛(佐賀/清弘)
仕方なく脳の指令で出す涙(佐賀/清弘)



~同人近詠(自選)より抜粋~

偏見を一途な風に見抜かれる
一滴の情け紅葉マークに助言する
(都城/主税みずほ)

入退院やっと繋いだ初日の出
新年を持ち越す課題しぼり込み
(宮崎/岩崎 哲)

極楽も地獄も金の使いみち
四季の花いつも似合いの広辞苑
(宮崎/中武 重晴)

おみくじを結ぶ私のプロローグ
どの色も命をもらう花ばさみ
(宮崎/中武 弓)

漢字借用大和ことばも丸く書く
空海の梵字漢訳した凄さ
(宮崎/西岡 南風)

性悪説ネットの世界むしばまれ
忙しくなってしまった退職後
(宮崎/間瀬田紋章)

祖母も着た七草晴れ着セピア色
決めました何があろうと妻でいる
(薩摩川内/石神 紅雀)

あやとりの紅い輪変わり身の早さ
庭草の凍て蝶新春を動かない
(福岡/冨永紗智子)

偽物の笑い声聞く冬の雨
格安の航空券で君の胸
(佐賀/真島久美子)



~誌友近詠(森中惠美子選)より抜粋~

《巻頭》
零にある豊かさを知る無位無官
陽へ感謝ダイコもカキも深い味
裏側が読めて少年から大人
(南国/橋田 綾子)

ポケモンGOへ明ける平和なお正月
初売りの核シェルターが売り切れる
お雑煮もおせちも吐息抱く独り
叱ってくれる友へ寒中見舞状
聖地巡礼母の遺影を抱いて行く
(宮崎/さわだまゆみ)


一人もいい一人がいいと秋灯下
民の声が町を動かし変えていく
悲しみの笑いなのだなピエロの目
(鹿児島/馬場ナオミ)

自画像へ使いきれない色がある
両の手に泣きたいほどの陽の光
蕎麦の花散るきっかけを見失う
(薩摩川内/春田あけみ)

雑踏に夢買う人の長い列
新春を告げる雄叫び鶏の声
好きな町博多雑煮の味に慣れ
(福岡/平本つね子)

節目には空ける独りの赤ワイン
打ち明けるその気にさせた星明かり
(宮崎/永友 淳子)

飄々と騒がれもせず家守る
旬のもの出され緊張ほぐされる
(宮崎/日高 賀邁)

温かい風になるまでペダル踏む
介護する母へ感謝の服を選る
(宮崎/肥田木聞明)

十年日記自分を褒めて三冊目
妻の名が消えた賀状を淋しがり
(宮崎/富田 博)

ミサイルのポケットに死を詰める北
あり余る才能神が妬いたのね
(鹿児島/松本 清展)



◆前月号近詠鑑賞より抜粋
《同人の部》(福岡/益永 克之)
老春の机を飾る五七五(真島 清弘)
口角を上げたら少し軽くなる(真島久美子)
耳朶が人恋しくてほてりだす(真島美智子)
《誌友の部》(東京/おかの蓉子)
天敵がいるから自負を強く持つ(冨田 末男)
焦げつきを見ないふりして蓋をする(春田あけみ)
背伸びして百歳の愚痴聞いている(増田 紗弓)


◆課題吟「どきどき」(坂出/河合美絵子選)より抜粋
テーブルの下で余震の去るを待つ(真島 清弘)
懸命に自然装い逢いに行く(日高 賀邁)
いきいきと妻が荷物をまとめてる(真島美智子)
身に覚えないパトカーがついてくる(馬場ナオミ)
異文化の風にときめく石畳(冨永紗智子)
どきどきが三日つづいた窯開き(中武 重晴)
箱根路へ号砲を待つ二十校(安田 翔光)


◆イメージ吟〈No.15〉(大津/小梶 忠雄選)より抜粋
一杯の酒に脱がされている鎧(さわだまゆみ)
焼酎がまさかこんなにうまいとは(日高 賀邁)
これ以上飲むと私でなくなるの(真島美智子)
このコップ私の心みたいでしょ(肥田木聞明)
マジックショーやがてコップが宙に浮く(太田ちかよし)
痛いほど分かる話を聞いている(真島久美子)
しあわせになる薬です召しあがれ(主税みずほ)
半分こしましょ一緒に眠りましょ(春田あけみ)
水中花あなたを待っていましたの(野口きよみ)


◆各地句報11月句会より抜粋
《入来わくわく番傘》
産まれたての赤子湯船へ男の手(紅雀)
妻という文字から遠い女です(あけみ)
新妻が三日と持たず指図する(夢修)
だれが何と言おうと妻が世界一(清展)
《宮崎番傘》
よく喋る男も黙る旬の鍋(喜宏)
鍋囲みたちまち溶ける主義主張(よしひさ)
禁断の恋が燃えてるキムチ鍋(まゆみ)
はたいてもまとわり付いてくる枯れ葉(のりとし)


◆友の会「縁」(香川/安田 翔光選)より抜粋
縁あって毎夜番傘枕辺に(富田 博)
贅沢に縁のなかった良いわが家(肥田木聞明)
これも縁家族となった迷い猫(太田ちかよし)
都会とは無縁なままで土と生き(永友 淳子)
逆縁の母に寄り添う九官鳥(さわだまゆみ)
仮の世を彩る濃やかな縁(選者)


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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by ringo-utahime | 2017-01-02 20:15 | 川柳誌 | Comments(4)

宮崎番傘川柳会(間瀬田紋章会長)発行の
「川柳みやざき冬季号(168号)」を紹介。

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◆巻頭言
出会うということ(西岡 南風)


◆近詠『尾鈴集』(間瀬田紋章選)〈38名参加〉より抜粋

《巻頭》
母を恋うゆらり記憶は若いまま
句集一冊母さんに読む秋の果て
戦後処理済まない母が眠りだす
まだ明日を信じて書かぬ遺言書
里に吹く風がおしえた処世術
愛憎のドラマを知らぬ標準語
掠れ字の母の想いへ鈴を振る
小宇宙くすぐってみる花雫
(都城/主税みずほ)


地の果ての島に知恵ある日本人
哀しみの地層にあった知の化石
骨のない墓に祈って茅を刈る
戦没碑神社の隅で海をみる
(宮崎/西岡 南風)

秋深み主なくとも熟れる柿
砂山に埋めた未練が発芽する
一線を越えた男を許す雨
おふくろの涙苦手な不孝者
(宮崎/江藤九州男)

難聴のガラパゴス化をする思考
耳朶に手を添え虚実聴き分ける
判官びいき聴こえるふりをする笑顔
秋彼岸子規の発句もずれてくる
(宮崎/棧 舜吉)

ピンコロリ行く寸前に脳にメス
真夜中のナースコールの手が震え
もう退院したの我が家に飲み仲間
(川南/岩崎 哲)

人間を人間にする空の青
背広からほろりこぼれる火の匂い
お転婆と言われつづけて母になる
(宮崎/高峰 桂介)

朝もやの緞帳あがる川の町
ゴールテープは静か闘志は駆け抜ける
綱を引く空と大地の間にて
(薩摩川内/石神 紅雀)

どしゃ降りの試練に見せた底力
皿に盛る青いリンゴに試される
順番に抜けてひとりの時刻表
(宮崎/日高 賀邁)

気がつけば亡母と同じに子を叱る
鍵穴を大カマキリに覗かれる
柚子の色すさむ心を塗りなおす
(宮崎/西 ほたか)

活断層の上で祭りに熱中し
徹夜して介護する娘の涼しい目
教え子の訃報は強く胸を打つ
(宮崎/田口 三窓)

火傷した過去に蓋して缶ビール
止まり木に男の嘘の忘れ物
言い訳をしない男にまだなれず
(宮崎/太田ちかよし)

透明の糸で縫われて動けない
踏み切りの前で迷っているウサギ
占いに後ろめたさを覗かれる
(薩摩川内/春田あけみ)

星になった母へ童話を書いている
肉食系のおんなは涙まで肥やし
ライバルに勝てとつぶやく朝の靴
やり直す転機をくれた手術痕
舌足らずのメールが生んでいた誤解
十五夜の別れ愛ある法螺を吹く
(宮崎/さわだまゆみ)


物忘れ揃う発芽にうろたえる
裏切りを許し青菜で酒二合
月毎の検査数値の積む命
(川南/甲斐 雅人)

来賓の代理の席が温もらぬ
孫一位車椅子から立ち上がる
ぶさ下がるだけの子もいる綱引きだ
(薩摩川内/石原 夢修)

泣きながら生まれてきたがもう泣かぬ
天国へ笑って逝こうVサイン
すっぴんが好きと言われた野辺の花
(宮崎/森本いつき)

病葉を抱いてこの世の話する
雑踏に同じ匂いのする安堵
お手玉を放る少女の森の中
(宮崎/中武 弓)

白鷺にもてはやされるトラクター
空港の動く歩道の水すまし
子育ては楽々いかぬ千歳飴
(宮崎/永友 充子)

講習会再挑戦に立つ傘寿
ロボットとドローン使う難工事
うそ本当思案にくれる弥次郎兵衛
(宮崎/柴崎 幸風)

施しをポロリと落とす医師の指
踊るほか無いと悟った地震国
シャボン玉仲間はみんな高齢者
(宮崎/馬場さだお)

天秤棒足元揺れて秋の風
冒険の森へ踏みだすジャンプ傘
待てど来ぬ便りに痼まだ残る
(宮崎/七條 美千)

週明けは医者の梯子で忙しい
止まり木で型減り靴がアイロニー
長寿社会和気あいあいの不整脈
(宮崎/永友 淳子)



◆私の風〈エッセイ3篇〉

実験風子育て記(高峰 桂介)

図書館で一日過ごす文化の日(柴崎 幸風)

川柳と私(福嶋 彦猫)



◆第36回 課題吟より抜粋


『未熟』 江藤九州男選
入選
子育てに妻が手助けしています(石田 酎)
未熟児も今は立派な反抗期(三好 信次)
人間不信未熟な風の傷を抱く(主税みずほ)
未熟でも百まで踊り忘れない(柴崎 幸風)
正座さえできぬお堂に響く経(間瀬田紋章)
まだ未熟違い分からぬ酒の味(太田ちかよし)
穏やかな円を乱している短気(中武 弓)
佳作
未熟さを補い合ってウエディング(永友 充子)
ITの世界未熟なまま老いる(やすの喜宏)
性善説信じ捨てられない未熟(さわだまゆみ)
特選
未熟者ですがと胸を張ってくる(甲斐 雅人)
軸吟
未熟さを隠しきれない筆洗う(選者)

『支える』 吉井 楼太選
入選
コンパスの足お互いに感謝状(石神 紅雀)
細腕で銃後支えた女たち(江藤九州男)
高度成長支えた戦士夢の跡(七條 美千)
中流を支える父の素手素足(主税みずほ)
ポジティブな妻が支える介護録(さわだまゆみ)
不器用でも家を支える父の自負(やすの喜宏)
支え合うネジが緩んで倦怠期(太田ちかよし)
私のつっかえ棒になりなさい(中武 弓)
佳作
女子力が支える過疎の栗ご飯(西山なずな)
老々介護力を抜いて支え合う(間瀬田紋章)
特選
長生きが重荷に老いの支え合い(三輪 治夫)
軸吟
表には出ない情けに感謝する(選者)


*******************


~お知らせ~

間瀬田紋章(宮崎番傘川柳会会長)さんのブログが、アメーバからヤフーにお引越しされました。

新しいブログのURLは、下記のとおりです。

紋章川柳のブログ[2]
http://blogs.yahoo.co.jp/maseda5236



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by ringo-utahime | 2016-12-12 16:20 | 川柳誌 | Comments(8)

「川柳番傘12月号」

番傘川柳本社(大阪市北区)発行の
「川柳番傘12月号」を紹介。144ページ。

表紙絵は「忘年会」。

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~同人近詠(田中 新一選)より一部抜粋~

《巻頭》
余命宣告されたおとうと落ち葉焚く
木犀匂うふりむく坂はモノトーン
泣ききってさあ始めよう終の章
(桜井/太田のりこ)


レコードの溝にデュランが立ち上がる
抵抗の詩人と同化した時代
オチのない人生なんて笑えない
(奈良/菱木 誠)

どうせなら笑って生きる眉を引く
そんな夜も越えてきたのか花の芯
さよならの色でしっかり玉結び
(宮崎/中武 弓)

ふりむけば足跡乾くカタツムリ
ほどほどにできぬ日もある酒の席
恋人のまんまで秋をやりすごす
(宮崎/間瀬田紋章)

猫には猫の苦労があって爪を研ぐ
朗報になんで口止めついている
穏やかに積もう火種は消したふり
(薩摩川内/石神 紅雀)

橋渡りきったら新しい私
月を買う話が漏れるウサギ小屋
偏った私を笑うリトマス紙
(佐賀/真島久美子)

脳トレとも思う草稿のマス目
居酒屋へ孫に呼ばれて酌み交わす
誕生日ごとに深まる酒の味
(香川/安田 翔光)

雲の心も抱き寄せてみる冬ごもり
冗談の下手な息子の風の歌
傷口へ父母の思い出二つ三つ
(都城/主税みずほ)

夕日浴び信号待ちの救急車
TPP何があろうと牛のそば
(宮崎/岩崎 哲)

巡り会い牛にお世話になってます
うしろにも目のある妻がいてくれる
(宮崎/中武 重晴)

アート掻き立てる一個の柿のいろ
遠心力信じる自転車とわたし
(福岡/冨永紗智子)

虫が鳴く今日一日は地震がない
負の遺産仕分けしているごみ袋
(熊本/黒川 孤遊)

まだ少し仕組むわたしに詩が出る
生きられる感謝いのちを抱きしめる
(別府/小代千代子)

非難所は眠る魂目を醒ます
ひと掬いの波に崩れる砂の塔
(宮崎/西岡 南風)


~誌友近詠(森中惠美子選)より一部抜粋~

《巻頭》
ひと休みしたら欲など消えていた
あの人はしたたかだけど憎めない
旅先の祭りと出合う国自慢
(名古屋/冨田 末男)


老人力燃える夕陽を身に浴びて
毛糸編む冬の足音聞きながら
金が要る浮世の義理の裏表
(札幌/小林 宥子)

にんげんの仮面がずれる暮れの街
一年の埃を払う魔女聖女
介護録だけ残される十二月
シャッフルの音のジングルベル響く
用途不明のネジが溜まってゆく師走
(宮崎/さわだまゆみ)


草もみじひとり娘も嫁に行く
モノクロの街に青春育てられ
折り紙が未知の世界へ連れてゆく
(宮崎/永友 淳子)

空腹も耐えてスクラム組んだ過去
本心をさらして世間広くなる
井の中を出てから五欲加速する
(宮崎/日高 賀邁)

老いの知恵格安ですがいかがです
若い血は大歓迎と献血車
二人よし一人もよいと酒が言う
(鹿児島/馬場ナオミ)

傷だらけを温めるなら秋夜長
ひとつしかない答えなどつまらない
ふたりいて心にひだまりができる
(薩摩川内/春田あけみ)

減反を孤高の案山子守りきる
真っ赤な夕日妻と眺めた日を偲ぶ
(宮崎/富田 博)

まだ風と暮らしているか母の文
たっぷりの恩真っ直ぐな樹に育て
(宮崎/肥田木聞明)

置き去りの拉致無常にも除夜の鐘
性悪な女優二世を隔離する
(鹿児島/松本 清展)


◆前月号近詠鑑賞

〈同人の部〉(東京/おかの蓉子)より
着ぐるみの中で泣きます怒ります(真島久美子)
深呼吸三回反論は静か(冨永紗智子)
地震の痕名月のシャワーがそそぐ(黒川 孤遊)

〈誌友の部〉(福岡/益永 克之)より
老いの手に小さな夢を転がせて(小林 宥子)
青信号リズムに合わせ通りゃんせ(平本つね子)
チャレンジャーまだ伸び代を抱いている(永友 淳子)


★課題吟「自由」(各務原/新海 照弘選)より

自由化の波にのまれてゆく弱者(安田 翔光)
莫大な金を自由にする夢想(日高 賀邁)
足元にあった自由という踏み絵(真島久美子)
存分な自由孤立が深くなる(冨永紗智子)
自由人気取り手放さないスマホ(さわだまゆみ)
自由時間貧乏症がうろたえる(真島美智子)
自由ですどこで死のうと生きようと(小林 宥子)
托鉢の風に吹かれる山頭火(馬場ナオミ)
自由ではなかった政治活動費(松本 清展)
世界一住みたい国にある自由(茶谷 好太)

★イメージ吟〈No.14〉(大津/小梶 忠雄選)より
この中の一つ私の守り札(山下 華子)
運命の女神は僕をすり抜ける(菱木 誠)
ここまでは礼儀正しいけんか凧(松本 清展)
あまだれが四角に見える日のわたし(冨永紗智子)
たんぽぽの種が四角になりました(春田あけみ)
散らかしたまんまなのねえお母さま(馬場ナオミ)
勢いにつられ座布団とまらない(西村 正紘)
眠くなるしあわせ空を飛んでます(若山 宗彦)

★友の会「変わる」(一宮/小川 加代選)より
個性的良くも悪くも変わり者(平本つね子)
日常の景色も変わる癌告知(さわだまゆみ)
変身をしすぎ自分に戻れない(太田ちかよし)
吹っ切れたようだ瞳が澄んでいる(井芹陶次郎)


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by ringo-utahime | 2016-12-06 15:20 | 川柳誌 | Comments(2)

「川柳番傘11月号」

番傘川柳本社(大阪市北区)発行の
「川柳番傘11月号」を紹介。146ページ。

表紙絵は「晩秋の里」。

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~同人近詠(田中 新一選)より一部抜粋~

《巻頭》
静寂いまわたしを試すちさい欲
石投げて波紋ひろげる孤独癖
アナログに悲鳴の届く風のいろ
(川崎/長野 清子)


手から手へ修羅場演じてきた紙幣
いい言葉噛んで血となれ肉となれ
(奈良/菱木 誠)

愛憎の狭間を埋める秋の雨
山頭火も辿った径を濡れながら
(香川/安田 翔光)

着ぐるみの中で泣きます怒ります
許される嘘ウエストも年齢も
(佐賀/真島久美子)

うしろから押された恩に生かされる
惚れ直す言葉を聞いた雪の道
(宮崎/中武 重晴)

居眠りも許してくれる神楽宿
遠回りしてから透き通る紅葉
(宮崎/中武 弓)

飛行機雲一直線の筆さばき
祭壇に気に入りだった夏帽子
(宮崎/岩崎 哲)

酒好きの夜に漕ぎだす船がいる
美しい嘘をいっぱい積んだ船
(宮崎/間瀬田紋章)

紫蘇を揉む梅酢に母の手が紅い
どしゃ降りに駆け出す肩が潔い
(薩摩川内/石神 紅雀)

ウイットを受けとるアンテナを合わす
自画像の目線正面はずさない
(福岡/冨永紗智子)

そうめんをすすりながら夏の懺悔
夫婦別姓どう聞いている瓜南瓜
(熊本/黒川 孤遊)

噴水に委ねています死生観
白い画布花びらだけが濡れている
(都城/主税みずほ)


~誌友近詠(森中惠美子選)より一部抜粋~

《巻頭》
爽やかな風に逢うため畑に出る
見縊ってはならぬ女の返し針
(倉敷/小野 礼子)


打算などないから酒が旨くなる
ほどほどの毒を発散して元気
(大牟田/山下 華子)

清貧の愛に昭和の塩サンマ
山頭火好きの孤独な茶わん酒
月下美人の告白聴いているワイン
木犀から甘い秘密がもれている
土の声聴けば命がよみがえる
(宮崎/さわだまゆみ)


介護2の母が畑を恋しがる
お受験に親の学歴問うてくる
(宮崎/日高 賀邁)

決断へ雲の高さのこころざし
建前の拑堝に涸れて来た真意
(宮崎/肥田木聞明)

夕焼け小焼けカラスと帰る子がいない
しゃぼん玉こわれて消えた夢の数
(鹿児島/馬場ナオミ)

プライドも殻も一緒に脱ぎました
騙されてあげる優しい嘘だから
(薩摩川内/春田あけみ)

青信号リズムに合わせ通りゃんせ
この星の危機を知らせる点滅機
(福岡/平本つね子)

チャレンジャーまだ伸び代を抱いている
何事もなかったように銀杏散る
(宮崎/永友 淳子)

頬擦りをしてバーベルにまず感謝
伯父さんの祈願が効いてこその銅
(鹿児島/松本 清展)


◆前月号近詠鑑賞〈同人の部〉(大分/若杉 幹夫)より
寄席に来て笑い堪える臍曲がり(森園かな女)
ど真ん中の直球だった悔いはない(間瀬田紋章)
贅沢には遠いが幸せに近い(真島 清弘)
成長期めきめき骨の音を聞く(松尾 貞美)
圧勝の剣で斬り込む伏魔殿(石丸 尚志)
天皇は不老長寿と決めている(六信 来)


◆前月号近詠鑑賞〈誌友の部〉(千葉/太田ヒロ子)より
死角などない位置にいるふたりです(春田あけみ)
煌めきも束の間人の世の花火(小林 宥子)
通知表パパがスマホを取り上げる(谷口 邦子)
向かい合い種なしぶどう食べている(谷 公子)
女性知事茨の道へキックオフ(外浦恵真子)
渋滞もいいかラジオでリオ五輪(横塚 隆志)


●リレー放談
『吟行のすすめ』 (宮崎/間瀬田紋章)



★課題吟「実る」(三原/大森 明恵選)より
療法士の根気に実る松葉杖(日高 賀邁)
失敗を糧に実った4連覇(松本 清展)
一粒の麦が実っていく平和(小林 宥子)
降るほどに実っています里の星(真島久美子)
最大の実りは妻と半世紀(鈴木 栄子)


★イメージ吟〈No.13〉(大津/小梶 忠雄選)より

前を来る盲導犬へ道あける(真島 清弘)
白足袋の白さが揺れているのです(中谷 弓)
白足袋で今日は私の誕生日(中武 重晴)
カランコロン母が消えゆく曲がり角(小林 宥子)
交番はどこですか昭和はどこですか(美馬りゅうこ)


◆各地句報9月句会(森口 美羽抄)より
《宮崎番傘》九州男報
虚と実をマイナンバーが精査する(紋章)
マイナンバーだけを残した孤高の死(まゆみ)
捨てられた猫のプライド顔洗う(ふさこ)
弔辞から寡黙な父へ差す光(敬女)
風光り水澄む里で生き返る(九州男)
《入来わくわく番傘》あけみ報
自然災害神は遠慮をなさらない(紅雀)
覚悟して五人の子ども産んだ妻(南風)
嗚呼とああ金と銀とで違う声(孤遊)
自動ドア涙をふいてから進む(紋章)


★友の会「人形」(越前/黒崎 洋介選)より
青い目の人形たちが知る昭和(太田ちかよし)
人形に恋したままの引きこもり(さわだまゆみ)
人形を愛してしまう青い刻(肥田木聞明)
人形に戻った母に子守唄(伊藤 良一)
顔だけを人形にする整形医(村上 哲子)


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by ringo-utahime | 2016-11-04 18:10 | 川柳誌 | Comments(2)

福岡市の「川柳くすのき秋季号」(119号)を紹介。
冨永紗智子編集・発行。31ページ。

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◆新樹抄(夏季号)推薦と鑑賞(渡邊 桂太)より抜粋
肩の荷をやさしい色にした夕陽(みずほ)
生まれつきの鈍感力に感謝する(礼子)
返し針もうこの辺でいい別れ(華子)
地を這った苦労が実る五十代(童里夢)
飴色になるまで弱火罪な人(そう美)
無意味だとしても時計を止めてみる(元気)
捨石の重さ手の平まだ残る(道半)
絶不調空に釣り糸垂れてみる(紅雀)
砂の城でも作らずにいられない(華菜)



~近詠「新樹」(自選句抄、114名参加)より抜粋~


慰霊碑に誓う平和を揺らす核
許し合う夫婦に笑う事が増え
(福岡/森園かな女)

合掌を開くと愛が溢れだす
待つ事に慣れて優しい花になる
(大牟田/山下 華子)

下手な嘘母は優しく聞いていた
勝ち組に囲まれ飲んだ苦い酒
(福岡/山下 唱悦)

カレンダーの余白が埋まる生きている
マイナスの金利 タンスに買い替える
(佐賀/横尾 信雄)

助手席を予約だぁれも乗せないで
しあわせな旅立ち通夜の弾む席
(鹿児島/石神 紅雀)

きらきらと輝く石に攻められる
逆立ちが出来てそれから頼もしい
(福岡/石田 酎)

焦るほど時間の壁につぶされる
浮き雲はその日暮らしの自分流
(春日/内野童里夢)

夏草の勢いに負け嫉妬する
大根が煮えて夫の上機嫌
(糟屋/河野 成子)

熱い血が残っていたぞ底の底
人情にもろくホームラン打たれる
(熊本/黒川 孤遊)

だまし絵の中で童女になった母
伸びしろを信じてくれた母の星
ト書き通りに進まぬ寡婦の第二章
絵手紙のコスモスおいでおいでする
プラス思考のまま黄昏てゆくカンナ
(宮崎/さわだまゆみ)


逃げられた石のひとつが崖に佇つ
巻き返したくらむ風と向かい合う
(都城/主税みずほ)

指をまるめると古里見えてくる
真珠湾それからでした焼け野原
(佐賀/西村 正紘)

自転車の守り頼まれる野の地蔵
国境の向こう朝陽に染まる街
(福岡/萩原奈津子)

悲しみの八月の空マリア像
花いちもんめみんな誰かにさらわれた
(福岡/平本つね子)

ひとりで泣いてひとりで笑う帯の芯
シャボン玉はかなく透けて愛されて
(荒尾/松村 華菜)

青蒼碧グラデーションに染まる夏
遠心力信じる自転車とわたし
(福岡/冨永紗智子)



◆課題吟「柿」(加賀田干拓選)

絵ごころをくすぐる庭の木守柿(中村 毬)
試行錯誤しっかり生きる柿の種(石田 酎)
ぬるま湯に浸かり渋柿甦る(横尾 信雄)
父さんの忌が巡る頃柿熟す(山下 華子)
柿熟れて里はひねもす童歌(中村 鈴女)
柿たわわ住む人もなくダム中止(山崎 蘭草)
〈佳句〉
いくつもの笑顔を思い柿吊るす(石神 紅雀)
もう時効隣の柿は渋かった(楠根はるえ)
疎まれても渋柿のまま生きてゆく(松岡 玲子)
〈秀句〉
柿の葉の虫くい地図はヨーロッパ(百武 海子)
飾らない渋柿でいる身の軽さ(太田黒文采)
吊し柿時の深みを蓄える(冨永紗智子)
〈軸吟〉
渋柿の青さ野性がほとばしる(加賀田干拓)



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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by ringo-utahime | 2016-10-06 17:21 | 川柳誌 | Comments(2)