りんご詩姫のブログ(新)

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2013年4月開設『りんご詩姫のブログ(新)』‥‥文芸川柳、フラメンコ、ボイストレーニング、パン教室、グルメ等々、趣味に生きる元気印「りんご詩姫」の〈気まぐれブログ〉。小さなスナックのママです。よろしく♡♡

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「川柳番傘9月号」

番傘川柳本社(大阪市北区)発行の「川柳番傘9月号」を紹介。
144ページ。

表紙絵は「古城の月」。(高岡秀造・カット)。

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~同人近詠(自選)より一部抜粋~

異端児の空の高さよ星月夜
老婆心すててショパンに溶けている
(都城/主税みずほ)

過去語る小さな嘘をちりばめて
寄せ返す波に己を問うている
(宮崎/岩崎 哲)

大小は言わない花の美しさ
生きていく薬と毒を見極めて
(宮崎/中武 重晴)

不揃いのお握り病の母に置く
お泊まりと決まれば孫の大暴れ
(宮崎/西岡 南風)

九条へ隊列をする紙の兵
付いて来ただけで業火に包まれる
(宮崎/間瀬田紋章)

満塁になって気付いた後がない
満塁のチャンスを潰す向かい風
(薩摩川内/石神 紅雀)

新涼のさあ積ん読の一ページ
短針はそろそろ夏の果てを知る
(福岡/冨永紗智子)

満月を蹴って忘れることにする
群れたくてチューブトップは黒にする
(佐賀/真島久美子)

その先はクライマックス滝となる
回春のサプリメントに入れ揚げる
(奈良/菱木 誠)



~誌友近詠(住田英比古選)より一部抜粋~

日が昇る今日の秘策を練りながら
幸せはこういうことか茶漬けめし
(宮崎/永友 淳子)

面舵も過去を踏まえて戦せず
世の乱れ昼寝中かな神々も
(宮崎/自流 譲)

脇役に徹した人のいい笑顔
友達のプラス志向に励まされ
(宮崎/中武 弓)

平静を装いながら爪を噛む
玉手箱開けた男の不整脈
(薩摩川内/春田あけみ)

眼に生気命の泉甦る
曲がり出す苦節が語る妻の背
(宮崎/甲斐 碌詩)

更年期言い訳にする秋のバラ
一筆箋寡黙な花にあこがれて
(宮崎/さわだまゆみ)

買い物難民団地始発のバスが出る
80の幸せラジオ体操日に2回
(宮崎/冨田 博)

照明をおとせば君も美しい
シャツにコロン加齢夫婦の身だしなみ
(鹿児島/馬場ナオミ)

再々々までは数えた手術5度
手術慣れなんてないです絶対に
(鹿児島/松本 清展)



~前月号近詠鑑賞「同人の部」(高東八千代選)より一部抜粋~

復興へユンボの爪のフル稼働(西村 正紘)
砂煙あげて姑さんやってくる(真島美智子)



~前月号鑑賞「誌友の部」(安西 廣恭選)より一部抜粋~

八月と向かい合ってる終戦日(川崎 敬女)
爆心地平和を願う蝉時雨(永友 淳子)
被爆二世まで十字架を背負う戦(松本 清展)



~課題吟「透ける」(竹岡 訓惠選)より一部抜粋~

心根が服に出ているシースルー(西岡 南風)
夏痩せの静脈透ける母を看る(森園かな女)
はったりの男の嘘が透けている(菱木 誠)
透明な水に誘われ溺死する(横尾 信雄)
やすらぎと思う男の洗う米(真島 清弘)



~各地句報7月句会(森口 美羽選)より一部抜粋~

《入来わくわく番傘》(あけみ報)
戦争の沼に右腕置いたまま(紅雀)
尖らせた芯は妥協を許さない(あけみ)
一本の線であなたを削除する(芙蓉)
線を引く気になる奴の名の上に(孤遊)
そもそもはこんな些細な導火線(清展)
青くさいほどまっすぐな正義感(まりん)

《宮崎番傘》(九州男報)
再婚はしないと決めた子の寝顔(敬女)
脳外科医ミクロの技を通過中(みずほ)
うるう秒まばたきほどのプレゼント(千枝)
再婚のリスク知らないブーケ抱く(紅玉)
再婚に臆病になるドアの鍵(みなみ)
足元で蠢くものに気づかない(あけみ)
子供部屋に火花の散った跡がある(紋章)
年輪に黒い火花の跡がある(のりとし)
イケメンに火花飛ばして火傷する(節子)
年寄りもスパークしたい夜がある(九州男)


***************


※月刊「川柳番傘」購読お申し込みは下記へ。

《番傘川柳本社》
TEL./06-6361-2455
FAX./06-6361-2456
振替/00970-0-26919

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一年分/8400円(送料込)


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by ringo-utahime | 2015-08-31 18:00 | 川柳誌 | Comments(6)

『栗』川柳と俳句

秋雨前線の影響で、しばらく天気が悪い予報。
家でゴロゴロの雨の定休日。
おやつに「むき栗」。

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課題『栗』の川柳と俳句を集めてみた。

~川柳~
【栗】

絵手紙の栗が届いて秋を知り(平井 研二)
皮ぐるみ栗食べられる自慢の歯(坂倉 敏夫)
渋皮も剥いてかあさん栗送る(興津 嵐坊)
栗爆ぜて一目散の恋となる(山倉 洋子)
小さな秋小さな栗をむきながら(時枝 京子)
地味ながら梅雨に咲いてる栗の花(反り目恋昇)
手間かけたわりには地味な栗ごはん(駒崎美津子)
生い立ちをしみじみと栗の渋皮(沼尾美智子)
行く秋に人に恐れる栗の棘(立花 三郎)
縄文の森からもらう栗ごはん(三浦 敬光)
火傷せぬ距離で火中の栗つつく(村田 花扇)
桃栗三年おんなはふいに鬼になる(竹内ヤス子)
主張する栗が火中で跳ね上がる(石丸 たか)
火中の栗を拾う先駆者の賭け(岩田 柳堂)
祖母のしたとおりに孫へ栗をむく(荻原非茶子)
おじいさんの遺した山で栗拾う(西部 郁代)
母さんが居たらと思う栗ごはん(西田美恵子)
栗ごはん買ってふる里遠くなる(河村佐和子)
火中の栗とすこし遊んでみようかな(五十嵐夏了)
栗飯の湯気も供えて亡母に秋(緒方美津子)
羞恥心の詰まった栗をむいている(那須ひさし)
病院から帰りわずかな栗をむく(森中恵美子)
火中の栗と漫画には手を出さぬ(森中恵美子)
栗ごはん仏の自慢ばかりする(森中恵美子)
晩秋のリズムで栗の実が落ちる(森中恵美子)
死後のことを知る柿の木も栗の木も(森中恵美子)
七十の肩で栗売る秋がくる(上田 森子)
老骨のファイト火中の栗拾う(飯沢 鳴窓)
栗の木の思いきりよく冬を知る(椙元 紋太)
火中の栗拾うロボットなら雇う(さわだまゆみ)
渋皮煮届きホントの秋を知る(みゆき)
風よ吹け嵐にもなれ栗拾い(あゆむ)
栗の様な女時どき破裂する(シゲ)


~俳句~
【栗】(季語=秋)

栗泥棒栗泥棒と挨拶す(高山 幽子)
栗剥くに完全無欠目指しをり(石井 みや)
海鳴を聴く父栗を食む子供(相生垣瓜人)
栗拾ふものの光の見ゆるとき(平畑 静塔)
木曽仔馬青栗のいが道に出て(森 澄雄)
老の身に故里ありて栗とどく(松本つや女)
栗を拾ひともにはにかむ父同士(林 翔)
栗尽きし寮生おのが灯にもどる(金子 潮)
みなし栗ならべおはじきあそびせる(加藤三七子)
毬栗の毬に青みの抜けるころ(宮坂 静生)
山門をいでて試食の栗もらう(山下美江子)
釜飯の大きな栗を喜べり(大木あきら)
てのひらに少し栗鳴る祖母の音(中村 梶子)
刃を据ゑて大ぶりの栗剥きにけり(野末たく二)
大粒の五山の栗を拾ひけり(根岸 浩一)
柴栗の破顔一笑野良着干す(今井 茅草)
山の地図そへし妙見栗を買ふ(岩田 余志)
ハングルとこぼれ焼栗手秤に(倉本 岬)
栗食むや若く哀しき背を曲げて(石田 波郷)
茹栗の湯気に遊べる仏かな(原 石鼎)
火中の栗掴みて捨て場のなかりけり(佐藤 文子)
毬栗に指の先より近づきぬ(藤田寿美子)
母の肘と触れ合えば栗の実の気分(丸木美津子)
所在なければ甘栗に爪立てる(垣本 善朗)
嫁が炊く栗多すぎし栗御飯(川瀬 向子)
栗剥げと出されし庖丁大きけれ(高浜 虚子)
行く秋や手をひろげたる栗のいが(松尾 芭蕉)
栗備ふ恵心の作の弥陀仏(与謝 蕪村)
栗焼く香ただよへば船灯し合う(友岡 子郷)
三つほどの栗の重さを袂にす(篠田悌二郎)
死の見ゆる日や山中に栗おとす(秋元不死男)
栗の毬割れて青空定まれり(福田甲子雄)
山行の栗の毬より雨あがる(石橋 秀野)
一粒の大粒の艶丹波栗(中山 純子)
間道はいづれも京へ丹波栗(渕上 千津)
抛られて音もたてずに虚栗(松田 美子)
灯の暗き丹波の郷や虚栗(赤尾 恵以)
栗山に在れば落日慌し(高浜 虚子)
栗山の空谷ふかきところかな(芝 不器男)
昼飯に少し間のあり栗拾ふ(赤星水竹居)
下野や風雨いよいよ栗林(鈴木真砂女)
栗売の声が夜となる飛騨盆地(成瀬櫻桃子)


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by ringo-utahime | 2015-08-30 15:00 | 川柳(課題別) | Comments(0)

『ヒマワリ』川柳

お客様から「ヒマワリ」を戴いた。
夏を代表する陽気な花も、8月の終わりに見ると、何だか物憂げな表情をしているかのようだ。

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ヒマワリ(向日葵)は、キク科の一年草。
原産地は北アメリカ。日本には17世紀に伝来。
花弁は大きな1つの花のように見えるが、実際は頭状花序と呼ばれ、多数の花が集まって1つの花の形を形成している。これはキク科の植物に見られる特徴。外輪に黄色い花びらをつけた花を舌状花、内側の花びらがない花を筒状花と区別して呼ぶ場合がある。
日回りと表記されることもあり、またニチリンソウ(日輪草)、ヒグルマ(日車)、向日葵を音読みしてヒュウガアオイとも呼ばれる。
太陽の動きにつれて花が回るのは生長に伴うもので、実際に太陽を追って動くのは生長が盛んな若い時期だけ。
種実は食用や油糧とする。

花言葉は「私は貴方だけを見つめる」。
俳句の季語は「夏」。

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課題『ヒマワリ』の川柳を集めてみた。

【ヒマワリ】
暗闇の先にヒマワリ咲いてるか(しろ 章子)
ひまわりの丘に少年期の迷路(福島 久子)
ひまわりの丘に未来の豆ゴッホ(大港とも子)
炎天を見回すひまわりの天下(久保田半蔵門)
晩節の庭向日葵の種を播く(村岡 義博)
特大のひまわり一つ男の絵(山崎知恵子)
太陽に恋したヒマワリの鼓動(渡辺千代子)
ひまわりが咲きゴクゴクと水を飲む(加賀田干拓)
向日葵のように素直に生きている(川渕キヨ子)
ひまわりの余韻よろしく冬を越す(伊藤 我流)
ひまわりの野原ゴッホの影がゆく(児玉 幸子)
ひまわりは明るい筈と試される(熊谷冨貴子)
ヒマワリの酎提げてゴッホの墓前(大木 俊秀)
母さんの笑顔ひまわり咲いたよう(紺矢はじめ)
ひまわりの吐息きこえる昼下がり(撰 喜子)
へんくつなヒマワリ何時も下を向き(松原 敏和)
ひまわりと呼ばれおんなに遠く生き(富田 房成)
老残のひまわり時を持っている(小川 清)
ひまわりの揺れる背丈の小宇宙(姫野 正夫)
引き際もまたひまわりと月見草(八木沼福男)
ひまわりの迷路に過去が見えてくる(栗山 加代)
ヒマワリのかりたてられるままに咲く(三浦 哲夫)
ひまわりの首は愛する人に向き(原 悠里)
向日葵が笑い損ねている冷夏(秋元 和可)
ひまわりの迷路で動く夏帽子(水田みわ子)
ヒマワリの角度で君におじぎする(渡邉 理紗)
遅咲きのひまわりがんばったんだね(安土 理恵)
ひまわりの後ろ姿を見てしまう(西崎久美子)
積んで来た汗ひまわりがワッと咲く(浅利 悦子)
向日葵の根元にぽたり闇がある(高瀬 霜石)
ヒマワリで囲む反戦基地の街(山口まもる)
ひまわりと自立を競う病み上がり(五月女博志)
向日葵が笑うと青空も笑う(山本野次馬)
ひまわりの前でゴッホの顔になる(上野勝比呂)
ひまわりの背丈へ燃えてくるカンナ(多田 誠子)
ひまわりの首よ和解をする重さ(森中恵美子)
向日葵の果てを見ている夏の風邪(森中恵美子)
ひまわりの向うに学歴を曝す(森中恵美子)
ひまわりに目鼻をつけてみたくなる(森中恵美子)
仲間ほめ夾竹桃もひまわりも(森中恵美子)
ひまわりを的にしているから疲れ(森中恵美子)
生き残る妥協をひまわりが笑う(森中恵美子)
向日葵を捨てサルビアに傾く陽(澤 車楽)
ひまわりはみんなうつむく原爆忌(勝田鯉千之)
ひまわりと菊ほど違う姉妹(村上 栄蔵)
生きる明るさを向日葵から貰い(林 千代子)
ひまわりは焦げて聖者のように立つ(東野 節子)
ひまわりの不遜を許す風は秋(吉村 雅文)
強情なヒマワリでした枯れました(山本 乱)
ひまわりが咲いてる強くなれ坊や(加藤 角市)
立ち枯れるまでひまわりであらんとす(外山あきら)
向日葵の自画像におや影がない(冨永紗智子)
ひまわりの丈おとうとを思うなり(木本 朱夏)
こんな世もひまわり凛と咲いている(田口 麦彦)
不在証明ひまわりの種ほの暗し(吉田久美子)
大らかに生き直したい向日葵よ(柿山ヒロ子)
ひまわりも渇のきわみのダリの午後(村上 氷筆)
ひまわりの高さで笑う少女らは(嶋村 幸)
ひまわりと張り合う妻の夏帽子(宮 昭一)
ひまわりに号令などは無用です(松山 芳生)
ひまわりに見守られてる里の母(吉田 征二)
太陽に背くヒマワリなら愛す(さわだまゆみ)
ひまわりもジェラシーを抱くビキニ痕(さわだまゆみ)
ひまわりが見逃さなかった夏の嘘(さわだまゆみ)
ひまわりの心が開けた第二幕(さわだまゆみ)
ひまわりの視線逃れる白日傘(さわだまゆみ)
ひまわりも日陰が好きと訴える(さわだまゆみ)
ひまわりの一途さ懐かしんで秋(さわだまゆみ)
ゴッホの絵バブルに湧いた頃もある(洋江)
ひまわりの迷路に愛をためされる(よしえ)
六十五年前もひまわり咲いていた(伸)
ひまわりの影もうつむく終戦日(薫)
原発を許さぬ向日葵仁王立ち(甚五朗)
ひまわりに背中押されて行く朝日(京子)
向日葵に湿った話は似合わない(七五)
向日葵の声が弾けたシャボン玉(イサヲ)
病室のひまわりに聞く退院日(静子)


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by ringo-utahime | 2015-08-29 14:03 | 川柳(課題別) | Comments(6)
8月23日(日)、宮崎市内の「宮日会館10階・大会議室」にて『第4回宮崎県現代川柳大会』が開催された。
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参加者、福岡6名・佐賀8名・大分1名・熊本11名・鹿児島16名・宮崎70名、総勢112名。
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投句締め切り11時30分。
開会13時。
司会は肥田木聞明さん。
実行委員長・藤井英坊さんの開会宣言、県現代川柳協会会長・西岡南風さんの主催者挨拶、県芸術文化協会会長・渡邊綱纜さんの来賓挨拶、昨年1位の江藤九州男さんの優勝カップ返還式のあと、いよいよ披講が始まった。

各課題ごとに、特選1句、準特選2句、佳作5句、入選41句、選者吟1句の計50句が発表された。入選確率は、約22パーセント。
脇取りは、柴崎幸風・山口陽花・さわだまゆみの3名。

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~上位・軸吟・私の入選句~

【四角】(宮崎)江藤九州男選
入選 嫁姑 見えぬリングに散る火花(さわだまゆみ)
入選 人間の驕り四角くなる西瓜(さわだまゆみ)
準2 真四角に歩くと風に絡まれる(有馬 順風)
準1 収束五年 耐えて四角の畜魂碑(甲斐 雅人)
特選 真四角へ空を切り抜き喪が明ける(主税みずほ)
軸吟 丸く生まれ四角い桶で旅に出る(選者)


【四角】(福岡)古谷龍太郎選
入選 人間の驕り四角くなる西瓜(さわだまゆみ)
準2 転がらぬように四角になりました(栗山 芳彦)
準1 狂いたい四角四面を脱ぎ捨てる(松村 華菜)
特選 悲しみの海に四角い杭の列(高峰 桂介)
軸吟 重箱の隅に隠れて突つかれる(選者)


【暑い】(宮崎)間瀬田紋章選
入選 サイレンが酷暑の夜を掻き乱す(さわだまゆみ)
準2 不完全燃焼わたくしが暑い(真島美智子)
準1 暑い日はジュゴンと話して過ごす(馬場さだお)
特選 熱帯夜 氷のような君を抱く(植田のりとし)
軸吟 暑い日の墓地ふき抜ける孤独感(選者)


【ばたばた】(延岡)荒砂 和彦選
入選 出産と葬儀重なる祭りの夜(さわだまゆみ)
準2 デジタルの海にバタバタする昭和(馬場さだお)
準1 突然死 跡目を狙う通夜の席(さわだまゆみ)
特選 白旗を揚げているのに向かい風(石神 紅雀)
軸吟 マニュアルが難破 想定外の海(選者)


【使う】(熊本)渡辺 幸士選
準2 使い捨て作るヒト科に怒るゴミ(北村あじさい)
準1 使いきるつもり好意と気配りも(中村 鈴女)
特選 やさしさを使い果たして強くなる(小代千代子)
軸吟 職を辞し舌は一枚だけ使う(選者)


【使う】(宮崎)西岡 南風選
入選 SNS使い孤独を飼い慣らす(さわだまゆみ)
準2 神おわす国ほど武器をよく使う(栗山 芳彦)
準1 使い捨て 損な時代に捨てられる(川崎 敬女)
特選 母さんの使うハサミにある戦さ(間瀬田紋章)
軸吟 ユーザーの夢を形にするメーカー(選者)

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総合1位は、宮崎のやすの喜宏さん。総合10点。なんと、川柳歴6ヶ月の大型新人。初出場でいきなり優勝カップをゲットされた。凄いです。
おめでとうございます!!

2位 中村 鈴女(福岡)
3位 植田のりとし(宮崎)
4位 主税みずほ(都城)
5位 さわだまゆみ(宮崎)
6位 藤井 英坊(宮崎)
7位 真島久美子(佐賀)
8位 高峰 桂介(宮崎)

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私も何とか入賞できた。
(※夢修さんがメールで送ってくれた写真)

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久美子ちゃんも入賞で、ゴキゲン!!


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懇親会は、16時30分~18時30分、カリーノ地下の「ラディッシュセブン」にて。60名以上の参加。
和気あいあいの雰囲気で、料理も美味しかった。


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「りんごの詩」での二次会。
別府の小代千代子さんを囲んでカラオケも歌い、大いに盛り上がった。


皆さん、お疲れ様でした。
ありがとうございました。

来年の「第5回宮崎県現代川柳」も、どうぞ宜しくお願いいたします。

m(__)m


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by ringo-utahime | 2015-08-24 22:34 | 川柳大会 | Comments(16)
朝日新聞(宮崎版)文芸欄に連載中の本多寿さんのコラム「記憶の森から」。8月12日(水)掲載分には、敬愛するヴィスワヴァ・シンボルスカ(1923.7.2~2012.2.1)の詩が取り上げられていて、嬉しかった。
1996年のノーベル文学賞を受賞した彼女は、最も偉大なポーランドの詩人であり、20世紀最大の女性詩人と言われている。
男性的骨格の中にある皮肉とユーモア、微笑みを持って現実の矛盾と不合理を突く彼女の詩は「詩歌のモーツァルト」「言葉のエレガンスとベートーベンの激情との調和」などと評されている。

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『終わりと始まり』(1993年)

戦争が終わった後では
だれかが後片付けをしなくてはならない
張本人が
じぶんですることなど
まずあり得ないのだから

だれかが死体の満載された荷車を
通りすぎていくためには
道端の
瓦礫を突き崩さなくてはなるまい

だれかが
泥や灰
ソファーのバネ
ガラスのかけらや
血まみれのボロ布の中に
もぐりこまねばならない

だれかが壁につっかい棒をするために
梁を引きずっていかなくてはならない
だれかが窓にガラスを
そして蝶番に扉をはめこまなくてはならない

これは写真うつりがいいというものではないし
年月を要する
カメラというカメラは、もう
他の戦争のためにいってしまった

橋は元通りに
駅は新しく改装しなくてはならない
折り曲げた袖口は こんな仕事のために
ずたずたになってしまうに違いない
だれかが手に箒を持って
昔の思い出話をしている
そしてまただれかは頭をあげたまま
うなずいては 耳をかたむけている
しかし そのすぐ傍らで
退屈した人々が
ぶらつき始める

時として まただれかが
やぶの下を掘り起こし
錆びた書類を取り出し
廃物処理場へと運んでゆく

ここで何が行われていたのかを
知っている者たちは
僅かしか知らない人々に
場所を譲らなくてはならない
それは、少数派よりもっと少ない
そしてだんだんと一人もいなくなってしまう

因果応報 こんな戦争の後には
生い茂った草の中で
穂を口に咥えたまま横たわり
いつもだれかが雲を睨みつけたまま
雲をぼんやりと眺めていなくてはならないのだ



『世紀の子供たち』 (1986年)

われわれは 二十世紀を生き抜く子供たち
この世紀は政治的な時代
お前の われわれの そしてお前たちの
昼の用事 夜の用事
すべて政治的な問題にかかわりを持っている

好むと好まざるとにかかわらず
われわれの生きてきた時代は
肌の色が何色であるとか
目の色がどうであったとかいう
人種差別の時代であった

お前が発言すれば 反響がかえってくる
お前が沈黙すれば それはさらに雄弁な意味を持つことになる
いずれにしても政治的なこと

森や林を抜けて と
パルチザンの歌 歌いながら
行くことも政治的なこと

非政治的な詩を書きつけたとしても
やはりそれは政治的なこと
空に月が光っていても
それは既に月だけの問題に止まりはしない
なすべきか なさざるべきか これが問題だ
どんな問いも 愛の答えも
すべて政治につながっている

お前が政治的な意味を得るために
人間的である必要はない
石油であったとしても事足りたのだ
動物の餌とか リサイクルの原料だって
よかったのだ

または 生と死について論争するかたわら
会議用の机の形のことで
丸い方がいいとか 四角いのでよいとか
何ヶ月もの間 言い争っていた

その時 人間たちは断末魔の苦しみに喘ぎ
動物たちが息を引きとり
家々は燃えつき
田畑が荒れ果てていった
はるか昔の
より非政治的な時代とおなじように


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by ringo-utahime | 2015-08-21 00:24 | ポエム | Comments(2)

『鍵』川柳

林檎キーホルダーをいただいた。キラキラコーデで可愛い。
K子ちゃん、ありがとうございます!!

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キーホルダーといえば、鍵。
課題『鍵』の川柳を集めてみた。

【鍵】
鍵っ子のカギは大事なペンダント(田中 一守)
防犯の集い錠前買わされる(赤尾 狂一)
合鍵が五分で出来る恐ろしさ(三宅がんじ)
鍵穴も凍てつきひとり来た任地(兵頭まもる)
鍵かけて出ても女は気にかかり(長谷川芙美子)
渡された鍵のささやき握りしめ(大倉 修子)
鍵かけてくつろぐ顔を別に持つ(武藤 端こ)
鍵のある引き出し子との距離を知る(岡田 悦喜)
子の部屋の鍵が孤独にしてしまう(上田 斗六)
合鍵を渡すひとつの運だめし(小宮美奈子)
ラーメンの湯気食卓に鍵を置き(木村 驢人)
セールスへとなりは鍵をかける音(竹田 桃生)
家中が働く鍵をみんなもち(佐々 千枝)
チウリツプ鍵を預る人に咲く(麻生 路郎)
鍵っ子だったからか虫けらに魅力(麻生 路郎)
婚礼の買物母と鍵をかけ(岸本 水府)
判も鍵も母の預かる古箪笥(岸本 水府)
任された鍵が次第に重くなり(杉山 一竿)
鍵かけて薄い情けの世を生きる(清水 幸)
ロボットに合理化の鍵握られる(斉藤 流悠)
鍵の束性悪説を持ち歩く(山本 昭彦)
どなたにも貴方だけよと渡す鍵(堀口 辰子)
合鍵が合うと信じていた二人(篠原 収)
すぐ出来るスペアキーが怖くなる(奥田かよ子)
鍵かけて人間檻に住みたがる(甲斐 博美)
裏切らぬものに冷たき鍵の束(野口 初枝)
鍵穴のむこうで海が荒れている(佐藤 美文)
人間が恐くて閉る鍵の音(妻神柳之介)
暮れなずむまちでくらしの鍵拾う(佐々木イネ)
おいそれとなくしてならぬ鍵の束(赤松ますみ)
定年後わが家の鍵を首に下げ(岡崎 守)
真夜中の鍵穴を出る影ひとつ(加藤かずこ)
合鍵を渡しいっ気にさようなら(岡崎たけ子)
門灯を消され鍵穴見あたらず(遠藤 伸子)
女房も知らぬロマンの鍵一つ(山本 雪子)
風化しそうで慕情に鍵をかけておく(角本 華峰)
地球灼熱冷やせる鍵をヒト失くし(関屋 健三)
分岐点に鍵が一杯落ちている(竹明なおみ)
鍵のない空から四月の雪が舞う(高橋八重子)
長老に丸く治まる鍵を借り(伊藤 秀)
大空は鍵の要らない五月晴れ(及川洋一郎)
絶ち難い未練へ鍵をつけ替える(高塚 英雄)
解決の鍵が鍵屋で作れない(京増 京介)
信じてるオートロックに閉め出され(須田 邑)
真実は鍵穴だけが知っている(加藤 星花)
鍵かけてどっぷり浸るメロドラマ(日田とし江)
謎を解く鍵の穴から見る星座(浦井 隆)
合カギが風の噂を聞きたがる(船橋 豊)
鍵一つ夜を平和にしてくれる(片島 康子)
蔵の鍵渡して自由人になる(田村 夢女)
海峡に合鍵ひとつ捨てに来た(加藤 鰹)
合鍵の誘いに弱いチューリップ(小島 仁)
ニューリーダー女性に鍵を握られる(飯塚 栄子)
ふるさとは都会ひとりの鍵の束(田頭 良子)
鍵かけず母は昭和の中に寝る(吉村久仁雄)
円満の鍵とピエロで踊る僕(川上 咲良)
まごころという合鍵を持つ教師(河内 郷輔)
二重鍵しても一人居の不安(坂下 久子)
年金の未来を覗く鍵の穴(白水 盛雄)
祭り上げ金庫の鍵は渡さない(中原たかお)
良心が最後の鍵を渡さない(吉田 悦子)
札束で開く鍵穴だってある(西潟賢一郎)
鍵っ子の無口となって月が欠け(竹ヶ原明徳)
鍵要らず会えば表敬おらが村(大洞イチロー)
友は宝心を開く鍵だから(北澤 草風)
お喋りを我慢できない春の鍵(菊地 克二)
合い鍵を返して終る夏の恋(江崎 紫峰)
鍵をする習慣もなく過疎に住み(市川ミツ代)
友救う鍵伝言が間に合わず(櫟 敬介)
鍵付けた日から団欒欠けてゆく(佐々木貞子)
通訳が来るまで鍵を持たされる(佐竹 観光)
お隣が交番我が家鍵が無い(佐竹 観光)
来た道を過去にさせない鍵の穴(飯田サイコ)
これからは日記帳にも鍵を掛け(上村 博一)
合鍵を渡し生き方変えてみる(島津 富弥)
解く鍵はやる気にあった先送り(竹中 正幸)
秘め事は秘め事として掛ける鍵(竹下 健作)
待ってるよ母の港は鍵かけず(藤原 華琴)
窓全部開けて鍵っ子母を待ち(渡辺よし美)
鍵穴が男女の仲を知っている(武田 香風)
どの鍵も合わなくなった父の部屋(隅田 外男)
豊かさに心の鍵を締め忘れ(長谷きみ子)
鍵ぜんぶ外せる友が宝もの(浜本 耀子)
合カギを渡され友から彼になり(林 範保)
こころには鍵をかけずに生きている(吉田 浩人)
木枯らしへ心の鍵は外せない(桜井 千秀)
電子錠合鍵なんて作れない(岩崎 公誠)
誤解とく笑顔の鍵も忘れずに(水谷 正子)
鍵ひとつ共に歩いて来たあうん(道 あかね)
少しずつ鍵を減らして生き残る(今井 寛)
鍵預け満ち足りている美人の湯(石倉 寛子)
心の鍵ずっと緩んでずっと春(白井ミツ子)
部屋の鍵締めて巣立ちがもう近い(渡辺 礼二)
鍵やたら増やし性善説信じ(伊藤 岳央)
独り暮らしの鍵を作って妻は逝く(宮川 佳月)
鍵のある里に住んでる母が翔ぶ(矢村なお美)
パトカーに乗ると開かぬドアの鍵(服部 談亭)
鍵穴に合わない鍵を持たされる(渡嘉敷唯正)
鍵っ子の道草秘密基地を持ち(堀部ゆき子)
鍵穴の向こうの冬と攻めぎ合う(府栄野香京)
神様に鍵を預けて黄昏れる(山田 福世)
何もかもカード鍵まで締めてくれ(中村 天馬)
鍵のない部屋が素直な子を育て(佐藤かつろう)
娘の心開ける合鍵母が持つ(坂口 光代)
合鍵が曲がり通じぬ夫婦仲(塚原 孝雄)
本当の鍵を握っている寡黙(宮口 克子)
カギ穴へ追い詰められている子供(阿部闘句郎)
親と子に鍵の要らないドアがある(浜田 京子)
鍵かけた家振り返る田植え時(前田 義風)
向い風小さな鍵をたしかめる(高田 羅奈)
ひたひたと揉み手で迫る鍵の穴(牧内ヨシ江)
月桂樹鍵のこわれた部屋にいる(松宮きらり)
鍵穴を洩れてけものになる話(石橋 芳山)
鍵穴の中で少女は羽化をする(小林 亜双)
平成の向こう三軒カギを掛け(太田健次郎)
鍵かけて近い他人も遠くする(大野 直之)
開封の結果が鍵を握ってる(川村 俊雄)
合鍵を渡した留守が気にかかる(木村 木念)
おしゃべりな合鍵ばかり渡される(須藤しんのすけ)
秘密法鍵箱でかくなるばかり(佐藤 明子)
鍵穴の向こうで唸るシュレッダー(山口まもる)
かぎ穴をすまして通る初春の風(坪内 照光)
鍵かけて居留守と決めた仕上げの日(伊東のり子)
また帰るつもりで鍵をかけている(岡本 恵)
合鍵が無くて入れぬ子の宇宙(野口きぬえ)
セキュリティ空にはカギも掛けられず(森木喜代重)
鍵穴に甘さが匂う新世帯(飯塚 栄子)
合鍵をあなたに返す冬の道(島田とみ子)
鍵のある個室私の小宇宙(松村 育子)
鍵忘れ鍵穴覗き怪しまれ(矢ケ崎神治)
お隣も鍵の在りかを知っている(大橋 芳明)
鍵穴の向こうに青い鳥は住み(黒田 正吉)
門限の鍵許す気で開けておく(畑 多聞子)
ケータイの明かりで探す家の鍵(薬師神とし子)
鍵っ子を待つ一匹の縫いぐるみ(内田 甲柳)
鍵っ子がただいまという独り言(加藤 富清)
鍵を掛け忘れて駆ける金庫番(関本 毅)
カギッ子が手慣れて作るカップ麺(竹内 祝子)
ロボットにヒト科の鍵を握られる(杉橋 利一)
かぎ穴の音まで変わる恋かしら(丸岡 泉里)
鍵穴を覗くと冬の日本海(斉藤 フミ)
鍵なしのこの地が好きよ目刺し焼く(佐藤さき子)
留守宅に鍵などいらぬ過疎の村(菅沼 匠)
鍵穴の向うにもあるふしあわせ(野島 正夫)
鍵穴に光が漏れている安堵(北原 伸章)
世も末か賽銭箱にデカイ鍵(土藏 芳竹)
内ポケに鍵掛けてある花名刺(池 樹代子)
鍵穴の中が美人と限らない(林 柳泉)
赤ちゃんが握る平和の鍵一つ(井川 利男)
鍵穴の向こうビックリ箱がある(加藤 武)
鍵穴の向こうにニート族が住む(松田 順久)
合鍵を返しロボット出て行った(森田 律子)
鍵穴に別れの匂い置いてくる(川上 智三)
国境封鎖子供部屋にも鍵が付く(古久保和子)
居る筈と鍵穴覗く集金日(国領真砂子)
鍵穴の向こうに巣喰う宇宙人(村上 直樹)
旅行中鍵にまじないかけてある(中井 大八)
わが家だけ鍵穴の合う大都会(南谷 到)
鍵穴の向こうにぼくの小宇宙(灰原 泰子)
合鍵を二人が持って昼は留守(大藪 布袋)
鍵穴にぴったり合った嫁が来た(笠井奈那美)
鍵穴から私の秘密漏れている(佐藤健次郎)
鍵穴の向こう興味の小宇宙(山本 芳枝)
鍵穴を覗くなんにも見ていない(岡部佳代子)
鍵穴の中の都会はパラダイス(尾崎 久江)
人形の嗚咽が漏れる鍵の穴(田村 道明)
コンビニの灯に鍵っ子が寄ってくる(土橋 旗一)
鍵穴に留守を頼んで疑わず(清水佐代子)
鍵穴の向うに見える新世界(高橋智栄子)
鍵穴の奥からドラマ洩れてくる(柿添 花子)
鍵穴よ逃げるなわては酔ってへん(古野つとむ)
他人から期待の鍵を渡される(勝盛 青章)
鍵っ子が一人占めする子守歌(法本 安子)
合鍵を渡し女の城落ちる(宮本 凡器)
鍵の音女の胸にとどくおと(森中恵美子)
夫婦にはなれない旅で鍵を買う(森中恵美子)
鍵穴の大きさほどに生きている(森中恵美子)
味方にも渡せぬ鍵がひとつある(森中恵美子)
鍵穴にいっぱい詰まるものがたり(森中恵美子)
春秋の門の淋しい鍵をもつ(森中恵美子)
鍵穴をのぞくと見える点と線(湯本としお)
合鍵はうどんを食べてから探す(小川 斐山)
カリスマの戯画を鍵穴から覗く(岡部 美雄)
人生の迷路で鍵を見失う(梶野 正二)
極楽へ行ける鍵など探そうか(内久保勝子)
鍵っ子がひとり残ったすべり台(井上 土柿)
合鍵を渡し未練のない別れ(伊原 輝美)
発車ベル心に鍵をかけたまま(佐々木京子)
有頂天心へ鍵がかからない(矢坂 雅一)
鍵っ子に育つさだめの貸しおむつ(谷岡不可止)
合鍵が三つ我が家は共稼ぎ(久次米一水)
鍵かけた日記は嘘が書いてある(大野 連山)
ありのまま書けば日記に鍵がいり(田中 香児)
一人住みひとりの鍵をあたためる(杉 久美枝)
ふたりとも鍵っ子大人の話する(松宮 功天)
鍵っ子の夕焼け空へ父母を描く(木下 木泉)
鍵っ子に同じみやげの父と母(馬場 天目)
鍵っ子の寝顔に詫びる共稼ぎ(工藤よしを)
鍵っ子にして片親は働き手(羽柴三洞子)
鍵っ子にママの病気がうれしい日(藤本 厳)
鍵っ子の目には家路を急ぐ雲(村野 英雄)
空き罐を蹴る鍵っ子にある乾き(宮口 捨三)
鍵握る男不気味な黙秘権(大西誠以知)
マンション暮らし淋しからずや鍵いくつ(佐伯みどり)
鍵のない部屋でだまされまいとする(こだま美枝子)
スペアキー城持つまでの共稼ぎ(朝日)
破れ障子しんがり棒がよく支え(敞子)
ふるさとの母を心の鍵とする(野出)
軒借りて母屋の鍵も手に入れる(汚痴庵)
鍵かけた部屋で非行の芽が育つ(寿子)
鍵要らぬ暮らしに慣れている軍手(千代子)
古い鍵ばかりでいまが開けられぬ(和尾)
鍵掛けてあるのに話漏れている(五月)
オルゴールたった一度の春の宴(三千子)
再生の鍵は私の手の中に(弘美)
鍵穴を通ると変わる主義主張(さくら)
鍵穴の向こうはきっと花盛り(きく子)
恋ひとつ終わって鍵を取り替える(幸子)
合鍵の視野にきびしい母の顔(積子)
鍵握る人が多弁になっていく(金子)
鍵嫌い野生育ちのまま老いる(れい)
合鍵を渡して迷う彼の笑み(すみ子)
鍵穴で友の本音をそっと見る(れい)


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by ringo-utahime | 2015-08-17 23:59 | 川柳(課題別) | Comments(4)
去る7月26日(日)、佐賀県吉野ヶ里町で「第4回卑弥呼の里女流川柳大会」が開かれた。
残念ながら私は参加できなかったが、今年も都城市の主税みずほさんが、宮崎を代表して足を運んでくださった。
みずほさん、ありがとうございました。

台風12合の接近が心配された中で、77名と過去最高の参加者数。(懇親会は中止)。
主催の真島ファミリーを中心にスタッフの皆さんの団結力の強さと明るさが人気に結びついているのだろう。
ご盛会おめでとうございました。

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発表誌を送っていただいたので、入選句の一部を下記に紹介。
選者は参加者の中から当日に依頼される。
各課題ごとに40句選出。入選確率は約25%。


【指】〈佐賀〉真島久美子選
初恋 はじめての指輪はめたりはずしたり(田中 安子)
入選 足の指自在に描きだすアート(冨永紗智子)
入選 指と指触れればきっと青い海(吉開 綾子)
入選 勘のいい指先だけが知った棘(主税みずほ)
入選 フラの指波です風です貴方です(真島美智子)
止句 初恋を知る時やめる指しゃぶり(中島 俊子)
人賞 我が胸に指鉄砲を向けている(清野 玲子)
地賞 この指に止まるあなたを疑わず(的場しずえ)
天賞 すり切れた指紋よ苦労したんだね(木本 朱夏)
軸吟 グローブのような指です母譲り(選者)


【自信】〈宮崎〉主税みずほ選
初恋 クレオパトラに負けぬ私の目鼻立ち(清野 玲子)
入選 ひまわりの自信過剰を叩く雨(長井すみ子)
入選 百歳を生きる自信へ缶ビール(山下 華子)
入選 トンネルを抜けて来た子の目が光る(矢村なお美)
入選 ペン先の自信は発芽したばかり(真島久美子)
止句 手八丁口八丁の嫁が来る(下釜 京子)
人賞 CTが自信を持って癌と云う(小桝 湛子)
地賞 人生の壁の厚さは気にならぬ(大屋 夏子)
天賞 キャミソールの鎖骨あたりが自信なの(木本 朱夏)
軸吟 自信家の恋もつっかい棒がいる(選者)


【浴びる】〈熊本〉平田 朝子選
初恋 シャワー全開いまにんげんになるところ(柴田 美都)
入選 逢いたいよ星のシャワーを浴びた夜は(松村 華菜)
入選 浴びるほど札束夢で良かったわ(真島美智子)
入選 里帰り母のオゾンに包まれる(矢村なお美)
入選 陽を浴びて上げております骨密度(渡辺ちえ子)
止句 桜ふぶきの下で逢いたい抱かれたい(岡田かすみ)
人賞 とくべつな日だけこうすいあびるんだ(松尾 芽)
地賞 反抗期愛のシャワーに気付かない(阪本ちえこ)
天賞 切りすてた方の返り血浴びた蝶(主税みずほ)
軸吟 フラッシュを浴びる未来のアスリート(選者)


【とろとろ】〈和歌山〉木本 朱夏選
初恋 とろとろになるまで蝉の声煮込む(真島美智子)
入選 一本松とろとろ民話かたりだす(的場しずえ)
入選 テールシチューとろとろ男の髄溶かす(冨永紗智子)
入選 謎めいた女神とろとろ卑弥呼さま(主税みずほ)
入選 袖の下とろとろ魔女に口説かれる(柿添 花子)
止句 五分粥の中で溺れていたい今日(真島久美子)
人賞 とろとろと眠る魚になってから(柴田 美都)
地賞 目蓋とろとろ妖精たちも欠伸する(松尾 貞美)
天賞 七月の恋へ水溶き片栗粉(真島久美子)
軸吟 雨あがるとろとろ煮込む惚れ薬(選者)


【動く】〈福岡〉萩原奈津子選
初恋 ちょっと失礼ゆかたの裾をめくる風(主税みずほ)
入選 電池一つ替えると亭主まだ動く(岡田かすみ)
入選 私の影が勝手に動きだす(山下 華子)
入選 青虫の命が夏を移動する(真島久美子)
入選 首一つ動かすだけの名演技(平田 朝子)
止句 アリバイのために動いているカラス(木本 朱夏)
一冊の本で心が回れ右(真島久美子)
地賞 ポリグラフ針の動きを読みあぐむ(冨永紗智子)
天賞 愛と恋天秤の皿揺れ動く(真島美智子)
軸吟 奔ろうが跳ぼうが君の射程距離(選者)


《メンズ賞受賞作品》
入選 恋はまだ指さえ触れぬままでいる(田代まつこ)
入選 過労死になるまで動く鳩時計(楠根はるえ)
入選 木の命動いて空を突き破る(花多山トシ子)
入選 逢いたいよ星のシャワーを浴びた夜は(松村 華菜)
入選 軸足が動き日本が揺れている(松村 華菜)
入選 茜雲涙が降ってきそうです(江川寿美枝)
入選 各駅に停車とろとろ行く黄泉路(楠根はるえ)
入選 赤んぼの指が掴んでいく無限(北村あじさい)
入選 里帰り母のオゾンに包まれる(矢村なお美)
入選 トンネルを抜けて来た子の目が光る(矢村なお美)
特選 指と指触れればきっと青い海(吉開 綾子)

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by ringo-utahime | 2015-08-14 23:45 | 川柳大会 | Comments(4)

『第九条』川柳

児童文学作家・高木敏子の処女作で自伝の「ガラスのうさぎ」を紹介。220万部を越えるベストセラーで、世界各国で翻訳されている。

高木敏子さんは昭和7年生まれ。
「私の証言を通して、戦争の無惨さや虚しさを、また生命の尊さを知って欲しいと願う。あの戦争で亡くなった大勢の人たちの代弁者となって、戦争を語り継いでいくことが、私に与えられた使命だと思う」。
戦争体験を語る講演を続けて来られたが、高齢により2007年8月を以て、講演活動を終了。
厚生省児童福祉文化奨励賞、日本ジャーナリスト会議奨励賞、エイボン女性大賞を受賞。


《あらすじ》
太平洋戦争末期、東京を標的とした米軍による大規模な無差別爆撃が繰り返し行われた。
1945年(昭和20年)3月10日の東京大空襲で、主人公の少女(敏子)は、母と妹を失う。父が営んでいたガラス工場の焼け跡には、ガラス細工のうさぎが歪んだ形で残っていた。
疎開途中の神奈川県二宮町で米海軍の機銃掃射に遭い、父もまた、敏子の目の前で命を落とす。
残された少女が涙を振り払いながら、懸命に生き抜こうとする姿に胸を揺すぶられる。

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※写真 金の星社〈フォア文庫〉の「新版 ガラスのうさぎ」。
1977年の出版作に戦時用語など語句の解説を増やして、2000年より発行。


薩摩川内市在住で川柳仲間の石神紅雀さんが、7月31日の朝陽小緑陰読書会で、私が推薦した「ガラスのうさぎ」の終盤〈太陽の文面〉の項目の一部を読んでくださったと聞き、嬉しかった。
抜粋して下記に記載。


1947年(昭和22年)5月3日、私はこの日を一生涯忘れないだろう。この日、日本国新憲法が施行された。新聞の中に書かれた全文の中で、私は第二章「戦争の放棄」という言葉に吸いつけられた。

第二章 戦争の放棄
第九条
①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

この文面は、私にとって、まさに輝く太陽のように、まぶしく見えた。これなんだ、もう私たち国民は永久に戦争を放棄したのだ。よく、歴史は繰り返されるという。しかし日本の歴史はじまって以来、はじめて日本は外国に負けたのだ。連合軍という名の外国の軍隊が日本を占領した。たしかに、いくさに負けたことは、くやしいし、なさけない。そのうえ、たくさんの犠牲者を出した。
だけど、それによって、永久に戦争はしないということを憲法に定めることができたのだ。日本だけでなく、相手国もきっときっと、数えきれないほどの被害と、悲しみを受けたであろう。私のように両親を亡くした子もいるだろう。戦争によって利益をこうむった人は、ほんのひとにぎりの人たちだ。
私は生きているかぎり、この憲法を守りつづけたい。そして、私の次の世代、またその次の世代へと、この悲しみを伝えていきたいと思った。二度と戦争を繰り返さないために。



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課題『第九条』の川柳を集めてみた。

【第九条】
九条のコピーへ拍手する地球(松村 滋)
九条がはかなく見える国境(可井さくら)
九条のゆれへ脈拍多くなり(熊谷 岳朗)
九条のコピーしっかり取っておく(中川 晴海)
解釈が第九条を広くする(青鹿 一秋)
子が泳ぐ空だ九条守り抜く(齊藤由紀子)
九条を蔵入りさせてなるものか(望月 弘)
平和だな九条などと軽く言う(玉井たけし)
九条を迷彩服に包み込む(藤井冨美子)
九条を知らぬ魚がやってきた(吉富 廣)
子に渡すガラスケースの第九条(岩間 啓子)
九条に安く見られてきた命(石谷 恵子)
GWへ埋没嘆く第9条(中川 久邦)
子へ遺す道だ九条守る蟻(佐藤 榮子)
九条は知らず第九は知っている(田中 士郎)
九条が外されていた新刊書(谷藤美智子)
九条のお陰か寿命延びている(京増 京介)
護るのは女の仕事九条も(石川 雅子)
九条の重さ確り母なれば(泉 めだか)
九条を布石にしてる日本地図(近藤 辰春)
9条を守る敗戦身に沁みる(中沢ほう介)
九条をもてあそんでる分水嶺(貝田 誠作)
中東の風九条を裏返し(横溝 賢二)
九条の対策だけはありません(中前 棋人)
六十年凛たるロマン第九条(服部 和大)
九条が許さぬ鴻毛の軽さ(服部 和大)
九条がイラクの風に揺すられる(宮下 昌人)
九条と兵の墓あり僕のスケッチ(吉平 一岳)
九条の賞味期限が気にかかる(加藤友三郎)
九条の行方が母の気にかかる(松田 順久)
九条と不戦の誓い守りぬけ(佐藤 歓次)
九条ガ守ル平和ノアリガタサ(藤中 公人)
九条を世界に輸出して平和(稲井たつを)
九条へ涙の渦を忘れまい(遠藤 慶子)
九条を護る勇気よ湧いて来い(遠藤 慶子)
九条へひたひた迫る美辞麗句(遠藤 慶子)
九条を世界に配りたい平和(男武志津江)
九条に欲しいノーベル平和賞(古手川 光)
九条を火種にしたら許さない(中居 善意)
九条の枠を広げる鳩の群れ(二宮 茂男)
進軍ラッパ九条が地鳴りする(堀江 加代)
九条を鼻紙にする自衛隊(市後崎兼一郎)
九条が重荷になって来た日本(小久保虎夫)
九条の箍を世代で締め直す(小沢 淳)
九条の背景軍事基地が占め(藤田 雪魚)
九条も卑劣なテロに揺れ動く(坂 稲花)
九条に委ねています子のいのち(熊坂よし江)
戦争の恐さを知っている九条(佐藤 陸子)
空っぽになった憲法第九条(大島 脩平)
九条で揉める我が家の世界観(福士 哲夫)
九条の恵沢かしら長寿占め(齋藤 升八)
九条がくれた平和の灯を点す(佐藤権兵衛)
九条にサンドバッグが詰めてある(滝川ひろし)
九条の空に基地など似合わない(柏野 遊花)
九条の中身はいつも生きている(岩本 和夫)
九条を逆に入れる玉手箱(田 誠)
九条の背中が丸く見えはじめ(紅谷とら路)
憲法の九条にある平和基地(望月 弘)
九条の箱から鳩がいなくなる(小島 仁)
九条も尻込みしてるテロ事件(安田 直枝)
外交が揺れて九条脅かす(岡田コスエ)
九条の意義が問われたテロの闇(岡部 英夫)
九条に冷えた世代をレンジする(小林 八茶)
九条はズバリ平和を守る基地(北出 北朗)
九条を許すと墓地が割れてくる(富田 蘭水)
九条が箱から首を出したがる(舟木 俊夫)
九条に睨まれながらする給油(鴨田 昭紀)
九条と基地が同居の摩訶不思議(有海 静枝)
九条へ世代格差の陽がかげる(西畑寿々女)
九条を守る怒りの空がある(村山 浩吉)
天辺に置く九条の星あかり(太田黒尚之)
九条の狭間で揺れる基地の街(赤山 恵子)
九条の力信じていたい明日(高崎 揚子)
九条の平和だれかがひき離す(福原 始)
九条はお荷物ですか派兵崘(齊藤由紀子)
声に帆を上げ九条を守りきる(齊藤由紀子)
九条を燻製にする多数決(小林信二郎)
九条をそーっと次世紀へ運ぶ(津田 暹)
子の寝息第九条を考える(吉永 亜弓)
九条を七割強の民が支持(高津 幸雄)
九条のお色直しはもうご免(横路 福夫)
九条が揺れるとアジア姦しい(君塚 茂)
九条という名の鍵をかけている(嶋澤喜八郎)
美しい国九条がでんと有る(宮内みの里)
改憲論悪夢の舞台戻りそう(沢田 抱石)
ふるさとは戦争放棄した日本(大久保眞澄)
いつまでも戦争放棄ふところに(野沢 省悟)
銃を持つそんな自由は要りません(清野 玲子)
戦争放棄 彬・多喜二を礎に(木本 朱夏)
戦争放棄、戦争責任放棄ではない(渡辺 隆夫)
九条の未来案じる千の風(さわだまゆみ)
九条を抉れば鳩がうずくまる(さわだまゆみ)



拾ってみれば、憲法第九条を詠んだ句の多さにびっくり。類想句も目につくが、終戦記念日を前にして、九条の重さと意味を再度考えて欲しいと願う。


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by ringo-utahime | 2015-08-12 23:29 | 川柳(課題別) | Comments(5)

『シベリア』川柳

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毎年夏になると必ず読み返したくなる本がある。辺見じゅん著「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」だ。
戦後、捕虜としてシベリアに抑留され、極寒と飢餓と重労働による死の恐怖と闘いながらも、お互いに励まし合い、文学を学びながら俳句を詠むことで、最後まで志と希望を捨てなかった男たちの実話である。
彼らのリーダー的存在で、1954年(昭和29年)ハバロフスクの強制収容所で死去した山本幡男氏の6通の遺書が、敗戦後から12年目に山本氏の遺族の元に次々と届けられる。厳しい検閲検査を逃れるために、それらの遺書は全て、仲間による「暗記」によってバラバラに持ち帰られたものだった。7通目の遺書が山本家に届いたのは、なんと1978年(昭和62年)、山本氏の没後33年目の夏だったという。
過酷な収容所生活にも屈せず生き抜いた彼らの知性と人間性には、生きる勇気と感銘を与えられる。戦争反対への思いも込めて、私が、たくさんの方々に呼んでいただきたいと願ってやまない一冊でもある。

~「川柳葦群」2012年10月号掲載、随筆《私の中の戦後》さわだまゆみ~より一部転載。




『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』

著者/辺見じゅん
発行書/文藝春秋

※第21回大宅壮一ノンフィクション賞受賞(1990年)
※第11回講談社ノンフィクション賞受賞(1989年)



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課題『シベリア』の川柳を集めてみた。

【シベリア】
シベリアの飢えとたぶっている星座(石川 鮎郎)
凍てつく日屍悲しやシベリアの(吉田 江道)
シベリアが浮く八月の蜃気楼(斉藤 栄泉)
シベリアの寒波抑留指を折り(山本憲太郎)
シベリアの寒気と馬が合ってくる(池田郷太郎)
シベリアを越えた耳です今も鳴る(進藤すぎの)
シベリアの苦労を話す雪が降る(高橋 武郎)
しあわせだからシベリアをまだおもう(土居 哲秋)
シベリアを丸洗いして陽に曝す(土居 哲秋)
シベリアは忘れて欲しい父の酒(遠藤 枯葉)
シベリアの過去が燻るしゃれこうべ(野田はつを)
黒パンのかけら抑留記の序章(榎本 信治)
生と死のシベリア今日も夢に出る(横井 正吾)
雪が舞うシベリアの話もうしない(横内 帆三)
捕虜の顔二十歳にならぬ歯の白さ(三條東洋樹)
捕虜の過去じゃがいもの皮うすくむく(濱本 千寿)
雪原に兵士羊の群れとされ(白井 博行)
くずいもが転ぶと捕虜がみな転ぶ(土居 哲秋)



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by ringo-utahime | 2015-08-11 23:42 | 川柳(課題別) | Comments(0)
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朝日新聞宮崎版の連載だった「詩の中の宮崎」が「詩の中の戦争と風土ー宮崎の光と影」(本多寿著)と改題して発行される。175頁。
著者は、改題の理由を「後記」で下記のように語っている。

「それは稿を書きすすめていくうちに、詩人たちの詩作品の背景に戦争と、愛憎相半ばする風土へのしがらみが抜きがたく存在しているのに気づいたからである。つまり戦争体験と風土のしがらみを内包しつつ、それぞれの立場で真摯に自らの詩を紡ぎつづけた詩人たちの営為を、より明らかにできるのではないかという思いからである。」


11人の詩人が取り上げられている。
真田亀久代
嵯峨信之
富松良夫
伊藤桂一
渡辺修三
本多利通
高森文夫
大森一郎
金丸枡一
南邦和
大山鐵也


私の尊敬する南邦和先生の頁の一部を下記に紹介。


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帰郷 (南 邦和)

ふるさとは いま
おれの目の中にある
熱帯樹の葉蔭にまぶしく光る
陽炎の時間となって
ふるさとは いま
おれの掌の中にある
秘密のようにじっとり汗ばむ
少年期の記憶となって。

おれがふるさとを見失っていた数年間
たった一枚の紙切れが
あっけなくおやじを殺した
おふくろの額に苦悩を刻んで
おもいおもいの道を走って去った
カラマーゾフの兄弟たち
ふるさとの空は
きょうも底抜けの蒼さだ。

剃刀のようにおれは街を歩く
とぎ澄まされた悲しみを抱いて
前科者をむかえる親戚たちのように
このあかるい歩道は
よそよそしくおれを見つめる
強姦された少女の傷痕を覗くように
ふるさとは いま
おれの不幸をはげしく抉る。

ざらざらと砂を噛む悔恨となって
ふるさとは いま
おれの舌の上にある。


この詩は、引き揚げのときの帰郷を書いたものではない。高校卒業後に宮崎家庭裁判所に採用されたのち、東京最高裁判所書記官研修所速記部に入所。卒業後、大阪地方裁判所、横浜地方裁判所、鹿児島地方裁判所と勤務したあと、家庭の事情で宮崎に帰郷した時期のものである。だが、十三歳で引き揚げたときと同じく、彼は異質な帰郷者だった。


***************


戦後70年の今、私たちは決して安穏としてはいられない位置に立たされているのだと実感する。
こんな不安な時代だからこそ、この本の詩人たちの声にも耳を傾けて欲しいと、私もまた強く願う。


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『詩の中の戦争と風土ー宮崎の光と影』

著者/本多 寿
発行所/㈲本多企画
(TEL.0985-82-4085)

発行日/2015年8月15日初版
定価/1000円+税


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by ringo-utahime | 2015-08-10 23:44 | 書籍 | Comments(10)

2013年4月開設『りんご詩姫のブログ(新)』‥‥文芸川柳、フラメンコ、ボイストレーニング、パン教室、グルメ等々、趣味に生きる元気印「りんご詩姫」の〈気まぐれブログ〉。小さなスナックのママです。よろしく♡♡


by りんご詩姫