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りんご詩姫のブログ(新)

宮崎番傘7月句会

7月24日(日)「宮崎番傘川柳会」(間瀬田紋章会長)7月句会開催。

※今月は参院選挙の投票日と重なった為、2週間遅れの定例句会。

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出席22名+欠席投句9名=合計31名の参加。

各課題ごとに約40句を選出。

脇取りを植田のりとしさんにお願いした。

入選句を下記に記載。
※ボイスレコーダーからの聞き取りの為、表記間違いの場合もあり。


【あの日】 七條 美千選
あの日からスクラム組んで母助け(みなみ)
小銭手にあの日見ていた紙芝居(ちかよし)
あの日あの時始発の駅で待った君(みずほ)
あの日から主役の好きな女偏(みずほ)
決断のあの日 独りになった印(敬女)
託された手紙に兄の余命知る(千枝)
トラックの荷台で僻地初帰任(南風)
敗戦のラジオは何ぞ蝉に聞く(ほたか)
縄電車遠いあの日は父母を乗せ(敬女)
ときめきに揺れたあの日に帰れない(せつこ)
友が逝くただ呆然と朝がきた(千枝)
あの日から晴れて夫婦の鶴と亀(なが月)
あの日以来うまく距離おく嫁姑(喜宏)
後悔はあの日の僕の意気地なし(信)
失恋のあの日が騒ぐ日記帳(弘二)
あの日から一人暮らしのカタツムリ(せつこ)
大正琴弾くとあの日に還る母(よしひさ)
色褪せたあの日絡んだ赤い糸(博)
あの日に戻せと難問投げる離婚劇(さだお)
浮かぶのはあの日の君の白いシャツ(照代)
あの日から渚が遠くなりました(信)
分岐点 元に戻れぬ開戦日(よしひさ)
失意の中のあの日の君がまだ消えぬ(みずほ)
神風の虚構に泣いた敗戦日(まゆみ)
あの日の瞳信じこの地へ根を下ろす(桂介)
一本の虫歯に泣いた不合格(九州男)
あの日から神を信じぬことにした(紋章)
手に触れた日から発酵してる恋(のりとし)
大金を手にした日から狂う蟻(のりとし)
離婚劇あの日の傘が濡れたまま(喜宏)
熊本のあの日からある不眠症(紋章)
佳5 あの日さえ無ければ他人だったのに(九州男)
佳4 自転車に乗れたあの日の風の讃(聞明)
佳3 少年期おぼれたあの日トラウマに(大義)
佳2 新しい風を掴んだ日の血気(聞明)
佳1 片目のないあの日のダルマ死んだふり(桂介)
準2 あの日から平和を刻む鳩時計(よしひさ)
準1 唇を噛むあの日の背負い投げ(桂介)
特選 あの日から名刺は風に飛ばされた(紋章)
軸吟 子を守る発言力を上げた日々(選者)


【水】 肥田木聞明選
つるべ井戸うまく汲めずに泣き出した(放浪)
水と空気汚して進む都市砂漠(桂介)
水琴窟 音を揺るがす蝉しぐれ(幸風)
水田に飛びはね跳ねる虫もない(義山)
水甕に生花を入れて主の顔(藤柳)
水代わり泡のしたたる紙コップ(幸風)
打ち水で路地に活気があった夏(信)
バイカモは澄んだ棲みかを知っている(千枝)
万物の命をつなぐ岩清水(博)
逃げ水の恋とは知らぬ夏少女(まゆみ)
昔なら軽く越えてた水たまり(ちかよし)
甘い水飲ませ育てた子の反旗(敬女)
増水の川面どどどどどと踊る(紅雀)
水水水 水を欲しがるきのこ雲(博)
力水つけて土俵の風もらう(南風)
せせらぎと戯れている夏帽子(美千)
ふるさとの水は長生きさせてくれ(紋章)
煩悩を断ちきる滝へ水の行(敬女)
スキャンダルの流れでている水まわり(美千)
一人旅 連泊をする水あたり(紋章)
打ち水へ父のジョークを偲ぶ夏(まゆみ)
遍歴は数えきれないミズスマシ(九州男)
水上の忍者おぼしきアメンボウ(なが月)
水面下 嫁に譲ってまるく棲む(敬女)
泥水にでんと構える蓮の花(喜宏)
親ごころ小骨抜いてる水面下(のりとし)
ああ甘露トレッキングの谷の水(大義)
最高のもてなしだった旨い水(桂介)
水飴につられ立ち見の紙芝居(なが月)
ふるさとの水の匂いと対話する(みずほ)
佳5 緑陰の風が誘〈いざな〉う水鏡(なが月)
佳4 呼び水になるか移住の家が待つ(南風)
佳3 打ち水に乾いた土のはしゃぐ声(喜宏)
佳2 おしゃべりな鍋にちょっぴり水をさす(桂介)
佳1 祭りうた残し集落水の底(ほたか)
準2 蛇口からテロの臭いの濁り水(喜宏)
準1 羊水の温もり母は無限大(みずほ)
特選 東京の水は免疫力がつく(紋章)
軸吟 善と悪それぞれに遇う汽水域(選者)


【途中】 やすの喜宏選
大輪へ開花の途中あと一歩(千枝)
頂上の風より途中の汗が好き(ほたか)
試験の途中 突如聞こえた神の声(桂介)
気にかかる旅の途中で触れた袖(せつこ)
待ってくれカタツムリ追う老いの足(博)
途中からしどろもどろの一夜漬け(幸風)
船出した恋が途中でする座礁(みずほ)
途中ゆえ今なら消せる指先で(義山)
何事も器用にできて途中まで(大義)
どの子にも母は見送る途中まで(淳子)
途中下車われを見つけた無人駅(弘二)
息継ぎの途中で軋みだす音色(聞明)
終活を途中で変えた余命表(敬女)
若き日の夢捨てられず途中下車(よしひさ)
ふるさとの匂いに惹かれ途中下車(美千)
しっちゃかめっちゃか認知途中の母がいる(なが月)
途中下車して見たくなる子の景色(千枝)
人生の途中で逢った罪な人(せつこ)
途中まで戻り流れを確かめる(桂介)
途中からUターンできぬ丸木橋(幸風)
喝采の途中で逃げた福の神(みずほ)
途中から我が家を見失う歳に(紋章)
途中から魔女になるとは知りもせず(九州男)
古寺巡礼 鎧かぶとが捨ててある(のりとし)
ちちははと語りながらの遍路道(まゆみ)
夢無限はてない旅の途中下車(博)
お話はもうやめてさあ二人きり(紅雀)
途中から仲間に入り火傷する(さだお)
途中から二枚目半に路線替え(なが月)
年輪の途中に赤い染みがある(のりとし)
佳5 昇進の途中で止まり外野席(弘二)
佳4 途中から嘘は言えない蜘蛛の糸(幸風)
佳3 途中下車 人と地酒に癒される(のりとし)
佳2 喋ってる途中を襲う失語症(南風)
佳1 言い訳の途中に嘘が隠れてる(ちかよし)
準2 栄光の途中で染まるドーピング(せつこ)
準1 途中から我が家の顔になった嫁(淳子)
特選 鬼の面 途中で外す裏事情(桂介)
軸吟 吊り橋の真ん中へんで迷う脳(選者)


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~宮崎番傘8月句会ご案内~

★日時/8月14日(日)
13時集合(16時まで)

★場所/西地区交流センター(勉強室)

★宿題
◎課題吟(各3句以内)
「一滴」
「猛暑」
「ドローン」
◎自由吟(1句のみ)

★投句料/300円(正会員は無料)

※どなたでも、自由に参加できます。見学も可。


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by ringo-utahime | 2016-07-24 23:50 | 川柳句会 | Comments(7)

『選挙』川柳

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7月10日(日)の参院選、雨の中をレインポンチョ着て自転車で投票に行った。
宮崎県の投票率は49.76%、相変わらず低い。

全国の投票率は54.70%で、前回(2013年参院選)の52.61%を上回ったものの、戦後4番目の低さだったとか。

18歳の投票率は、51.17%。
19歳の投票率は、39.66%。
大学生や社会人の多い19歳より、高校生などで主権者教育を受ける機会の多い18歳の方が投票率が高かった。

明日14日は東京都知事選の告示日(投開票は31日)。
参院選の結果に危機感を抱いたジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)が立候補を表明し、野党統一候補として擁立された。
自民党は、小池百合子元防衛相(63)と増田寛也元総務相(64)の分裂選挙に突入しそう。


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課題『選挙』の川柳を集めてみた。

【選挙】
ご健闘を祈るマイクがすれ違い(園田 康統)
一票をあげる政見しかと聴く(松浦 ミツ)
浮動票は浮気のようで的を射る(南出 陽一)
投票には行くが私は浮動票(坂本 鋼亭)
権利より義理の一票入れに行く(梅崎 尚子)
握手した目で一票によみこまれ(矢田 愛子)
人情にもろい田舎の浮動票(迫部 秀子)
公認で打てる選挙の大博打(中野 秀雄)
お願いに来てもお礼に来ぬ連呼(小松 剛)
投票日だけが主権の人の列(阿部九七七)
市議当選日系人の持つ誇り(古田志津子)
市場籠しょせんおんなは浮動票(磯野いさむ)
雪国の選挙参謀雪に勝つ(磯野いさむ)
どの顔もこちら向いてる浮動票(浪 乱丁)
本尊を見たこともない組織票(米澤 暁明)
浮動票などと見下げてくださるな(藤原葉香郎)
棄権したくせに結果を知りたがり(秋元沙久子)
票読みの通りに票の出る不思議(北原 晴夫)
一票の重さを思い知る次点(水田 大将)
裕ちゃんの顔もプラスの全国区(大崎 三乗)
伯父さんも叔父さんも出る村議選(矢須岡 信)
票読みの甘さ骨身に沁むダルマ(玉田 功)
敗軍の将下馬評を読みなおす(合田 桂水)
祝宴の用意も出来ていた次点(井上 万歩)
演壇の目に千票とみた拍手(長谷川歴青)
投票箱とお巡りさんに長い夜(上松 爪人)
票田という幻を売る男(鎌田 京史)
候補者へ団地の窓はみなしまり(高橋ゆたか)
良心に恥じぬ票だけでは勝てず(進藤 邦郎)
落選のポスター剥ぎに行く勇気(長谷川柾木)
握手攻めにあっても票は一つです(山口都一郎)
婦人票多数我が家のクーデター(久次米一水)
父からの脱出選挙権行使(平賀 胤寿)
身を粉にする嘘またも選挙戦(吉田 秀敏)
ゼネコンへ予算ばらまく票集め(山本憲太郎)
あれほどの怒りが票になって出ぬ(黒川正之進)
事務所開ききっとスパイもいるだろう(新海 照弘)
一票の差が花形にしてくれず(小林はつ子)
田が売れたそうな町議に出るそうな(西川 和子)
OB会妙に選挙が付き纏う(三好 兵蔵)
票田がゆれとりますと国家老(田中 凡丁)
当選を果たせば狂う羅針盤(荒金ヤヱ子)
人いろいろ選挙の話やめておく(岡村 嵐舟)
政見はおぼろおぼろにまた選挙(広川 閑人)
浸水はじまる 一片の選挙権を浮かべ(今井 鴨平)
選挙カー大怪獣のように吠え(大家 北汀)
選挙カーことばはあるが実がない(岩井 三窓)
選挙カー下手なオペラだなと思う(江畑 哲男)
下積みの石手ぐすねで待つ選挙(許我真史坊)
選挙戦ねじれて咲いたバラの花(福士 博子)
敵失で決まる選挙にはしゃぎ過ぎ(矢内ひろし)
政権交代楽しくなってきた選挙(三村 舞)
総選挙AKBのほどもなく(田口 麦彦)
選挙権二十歳の節目背を正し(沢幡 芳子)
盛り上がる授業へ邪魔な選挙カー(菖蒲 正明)
ゆるキャラも画面で踊るネット選(谷まさあき)
仕分けする積りで行った投票所(ただし)
町会でみな下を向く役選び(つかさ)
総理席回転椅子が腰据えぬ(和嘉子)



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by ringo-utahime | 2016-07-13 07:55 | 川柳(課題別) | Comments(2)

福岡市の「川柳くすのき夏季号」(118号)を紹介。
冨永紗智子編集・発行。31ページ。

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◆新樹抄(春季号)推薦と鑑賞(渡邊 桂太)より抜粋
人の輪にすんなり入る竹とんぼ(酎)
君は太陽見ているだけで火傷する(紅雀)
終活へ神の死角が見つからぬ(まゆみ)
恋人が老いていくこと知らず抱く(孤遊)
たっぷりと食べてゆっくり追いかける(正紘)
マイナンバー付いて人間軽くなる(信雄)
白い昼白い手紙を書いている(奈津子)
泡沫の夢がスープに浮いている(一恵)
明日のない恋彩のない昼花火(紗智子)



~近詠「新樹」(自選句抄、119名参加)より抜粋~


あの時の涙が今も乾かない
ジャングルを知らぬゴリラの悲しい死
(福岡/平本つね子)

人の世に乾いて花の種を買う
遮断機が上るあてどもない靴へ
(荒尾/松村 華菜)

ライバルの野良には負ける猫パンチ
溜息の出る日は深い笑い皺
(福岡/森園かな女)

火の章を生きるひっそり足袋を脱ぐ
それからを問えないままの走り梅雨
(大牟田/山下 華子)

喉元に詰まった嘘が呑み込めぬ
思い出が詰まった部屋を出る四月
(福岡/山下 唱悦)

ポジティブに生きる悩みも引き連れて
マドンナに加齢の二字が責めてくる
(佐賀/横尾 信雄)

見つめ合う目と目は猜疑心だろう
クリムトの官能私の眼を突く
(大川/渡邊 桂太)

絶不調空に釣り糸垂れてみる
一線を越えてますます他人めく
(鹿児島/石神 紅雀)

一枚の紙から鬼のこころざし
苦も楽も演じてボクの笑い声
(福岡/石田 酎)

地を這った苦労が実る五十代
優しさを武器にしている詐欺師達
(春日/内野童里夢)

野も畑も萌えて後継者がいない
人並みの暮しにもある上中下
(北九州/楠根はるえ)

命綱一本生きていた不思議
人間と人間ぶつかって火花
(熊本/黒川 孤遊)

仏壇に手を合わせれば無垢の風
遺影にも聴かせる朝のモーツァルト
封印の恋から線香の匂い
孤独に効くサプリメントが見つからぬ
光を奪う恋人の死よ母の死よ
(宮崎/さわだまゆみ)


血脈がひとつの命確かめる
肩の荷をやさしい色にした夕陽
(都城/主税みずほ)

ブーイング昭和一桁意固地です
木綿縞母の昭和が褪せている
(糟屋/中村 鈴女)

プルタブの指輪五歳のお約束
弱点を突かれここから雨になる
(福岡/萩原奈津子)

涙したここが私の始発駅
風呂敷を使うと母が転げ出る
(久留米/馬場ゆうこ)

産湯沸く五歳のあの日姉になる
連絡船故郷の訛近くなる
(福岡/冨永紗智子)



◆「女紋」守り抜いた田村百合子(黒川 孤遊)



◆課題吟「泉」(主税みずほ選)より抜粋
迷ったら泉の精に逢いに行く(西村 正紘)
ユーモアも愛もたっぷり抱く泉(松村 華菜)
人嫌い泉あくまで透きとおる(冨永紗智子)
震災で涸れた泉の深い傷(山下 唱悦)
清冽な泉みつめている孤独(中村 鈴女)
湧水の明日を約束する蛍(萩原奈津子)
涸れてゆく胸の泉に酒を注す(楠根はるえ)
愛し抜く決意へ上がる間歇泉(さわだまゆみ)
底無しの泉を持っている器(山下 華子)
欲望の泉が湧いて知る火種(石田 酎)
人間に戻ろう黄泉へ行く前に(横尾 信雄)
湧水の無垢に記憶を洗われる(藤岡 元気)
新刊の泉にわたし溺れそう(馬場ゆうこ)
いっさいを知ってる蝶が舞う泉(選者)


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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by ringo-utahime | 2016-07-09 18:37 | 川柳誌 | Comments(2)

「川柳番傘7月号」

番傘川柳本社(大阪市北区)発行の「川柳番傘7月号」を紹介。
172ページ。

表紙絵は「東尋坊」。

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~同人近詠(田中新一選)より抜粋~

《巻頭》
バンザイはなかった父の私小説
慟哭や男哀しい嘘を言う
(豊橋/高柳 閑雲)

かげろうの向こう渇いてゆく心
臆病になろう大胆にもなろう
(奈良/菱木 誠)

このままで終わらぬ男深呼吸
疲れとる布団決心する布団
(宮崎/中武 重晴)

直感で火の輪くぐりの恋と知る
花びらの謀反を知らぬ夏帽子
(都城/主税みずほ)

若鮎の放物線を追いかける
一日を仕舞う小さな薬指
(宮崎/中武 弓)

セントラルチャーチ娘を奪う風
痛風の罰受けている旅の宿
(宮崎/間瀬田紋章)

AIと競う明日の絵に惑う
下萌えに明日の力を蓄える
(福岡/冨永紗智子)

真ん中に人はサプリを植えたがる
恋心忘れた頃に発芽する
(佐賀/真島久美子)

妻の名を叫んで揺れに耐えている
食欲を思い出させた握り飯
(熊本/黒川 孤遊)

問うほどにまた月魄に叱られる
打たれ強いだけの私のキャラクター
(別府/小代千代子)

譲られた席の温みがこそばゆい
天災に地球を乱れとぶ善意
(薩摩川内/石神 紅雀)



~誌友近詠(森中惠美子選)より抜粋~

《巻頭》
難題にロダンの像も立ちあがる
幸せに辿り着けない阿弥陀くじ
一塗りのルージュが見せる演技力
(熊本/村上 哲子)

別の宇宙抱く七夕の通り雨
純情がこじれた夏の人魚姫
水無月のシャイな男を持て余す
パッケージ虹色で描く夏少女
ライバルが消えてしまってから不振
(宮崎/さわだまゆみ)


雑草に花を咲かせた親の意地
潔くポスト譲った処世術
(宮崎/日高 賀邁)

正しさが真綿のように絡みつく
なだめても逆らう棘が胸にある
(薩摩川内/春田あけみ)

人間も神も狂気を繰り返す
消えていく指紋明日が捲れない
(福岡/平本つね子)

B面で息をひそめて生きている
散る花の哲学などは風次第
(札幌/小林 宥子)

葉ざくらの坂で出逢った人が逝く
赦すとか赦さないとかロゼワイン
(大牟田/山下 華子)

父母という大きな傘の中で熟れ
楚々として女脱皮を語らない
(宮崎/肥田木聞明)

落花もうあとは野となれ山となれ
浮気するようにスコッチ舐めている
(鹿児島/馬場ナオミ)

錠剤を捨ててもくたばれぬ不思議
ドラマチックに生きて10度の手術歴
(鹿児島/松本 清展)


~前月号近詠鑑賞「誌友の部」(埼玉/福岡 義龍)より~
冒頭に子規の川柳観を引用。
「俳句にして川柳に近きは俳句の拙なるもの、川柳にして俳句に近きは川柳の拙なるもの」。

さわだまゆみさんの6句とも巻頭ページに相応しい。
特に「防虫剤忍ばせている寡婦の帯」虫たる殿方はぐうの音も出ない。無理に虫ついても「スキャンダラスな恋の終わりの液状化」は凄すぎる。

・・・などと、嬉し過ぎるお言葉を戴いた。ありがとうございます。


~課題吟「声」(中山仁美選)より抜粋~
天の声地の声聞いた震度7(隅田 外男)
まだ止まぬ活断層のうめき声(住田英比古)
母さんの声を知ってる赤ん坊(小川 加代)
合コンへ奇声発する春の猫(横尾 信雄)
柔らかな耳がいのちを聞き分ける(柏野 遊花)
反対の意見は何よりの薬(石神 紅雀)
千年の樹齢仏の声がする(岩城富美代)


~イメージ吟〈No.9〉(竹村穏夫選)より抜粋~
発酵の機嫌うかがう杜氏の感(森園かな女)
我が胸の底に溜まっている泪(山下 華子)
しばらくは飢えることない備蓄米(馬場ナオミ)
60兆個煩悩背負う八十路坂(富田 博)
上を向く少年達の無垢な顔(平本つね子)
金の卵の過去は語らぬ認知症(さわだまゆみ)
拡散は許せぬ核の深い闇(菱木 誠)
体操の演技始めの笛を待つ(森田 満枝)


~友の会「誤解」(上野勝比古選)より抜粋~
誤解とくすべなく猫が欠伸する(伊藤 良一)
絵手紙がゆっくりといてゆく誤解(さわだまゆみ)
この先もまだまだ有ると生きている(沢田 博昭)
うなずいただけで味方と間違われ(清左 とみ)
君だけの為に地球は回らない(平本つね子)
信じてくれよ真面目亭主の朝帰り(富田 博)


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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by ringo-utahime | 2016-07-05 12:30 | 川柳誌 | Comments(8)

「川柳葦群」第38号

「川柳葦群」第38号(柳川・梅崎流青編集発行)を紹介。

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~葦の原推奨作品(梅崎流青選)より抜粋~
あの時のリンゴの傷のその後聞く(河内やすこ)
掛け違う為の釦と心得る(真島久美子)
三途の川のどちらの岸で咲く桜(野沢 省悟)
死ぬために泳ぎつづけている金魚(荻原 鹿声)
シンプルでいたい情報網を断つ(和才 美絵)
少しだけ今夜は月を裏切ろう(清水美智子)
やっと吐き出せば煤けていた 真(村上 久美)


~川柳葦群抄より抜粋~

ご馳走も涙の味になる孤食
不眠症の私を置いて春が逝く
解毒剤のように指折る五七五
愛憎を抑えきれずに振るバット
しあわせを混ぜれば黒になる絵の具
(宮崎/さわだまゆみ)


年齢と折り合う気など無い炎
七夕を年に二回と決めた歳
(いわき/真弓 明子)

見捨ててはゆけぬ気になる花の色
美しい五月に背く花の首
(和歌山/木本 朱夏)

ビバルディ性善説を響かせて
また今日も消化不良の陽が沈む
(札幌/小林 宥子)

戦争を知らず震災三度見る
善人の太鼓が少し草臥れる
(大和高田/板垣 孝志)

再会の熱く抱き合う風の駅
乱気流愛はときどき裏返る
(福岡/弘津 明子)

でっぱっているのは謝った台詞
アナログのテレビも認知症らしい
(福津/長井すみ子)

諦めた恋が水中浮遊する
マッチ擦る今日もやっぱり失語症
(糟屋/中村 鈴女)

狂わない時計命が擦り切れる
立眩みする木登りを止められぬ
(福岡/清野 玲子)

エスコート受けて華やぐ春の靴
別姓で生きて渇いていく絆
(荒尾/松村 華菜)

新鮮な血で逢いに行くトマト食む
妹が笑う地球の裏側で
(佐賀/真島久美子)


~前号「川柳葦群抄」鑑賞(新家完司)より抜粋~
春雷や君がフラッシュバックする(山下 華子)
ブランコはゆれる行き場のない私(木村 翔龍)
川向こう有象無象が屯する(中村 鈴女)
ジャムの蓋開けてとほとけ困らせる(真弓 明子)
賑やかな家族の中にいて孤独(大屋 夏子)
痛くない方へ上手に転がろう(松村 華菜)
まっすぐに歩けなくてもいいんだよ(柴田 美都)


~近詠「葦の原」(梅崎流青選)より抜粋~

介護ベッドゆっくりと子に還る母
善い人に見えるようにと死に化粧
ほんとうの涙で送る家族葬
さよならも言わずに風になった母
骨壺に弱音吐いてる日曜日
母さんを偲ぶ姉妹の掛けうどん
落丁のページに父も母も棲む
(宮崎/さわだまゆみ)


一枚の毛布にくるむ飢餓ありき
おとうとと別れた駅の花ふぶき
(愛媛/田中ほつ枝)

豆の花裏切られても信じあう
タンポポの目線で今日はとんでみる
(福津/河内やすこ)

無罪ではないが大きく咲いてみる
陽の当たる場所に心を植えました
(佐賀/真島久美子)

ラーメンを食べて喪服を干している
本当に当たると困る宝くじ
(青森/野沢 省悟)

手に負えぬ思い出という白い闇
波の音かすかに残る玩具箱
(日光/荻原 鹿声)

彫刻が下手で羅漢にはなれぬ
折り合いをつけて円錐形になる
(大和高田/板垣 孝志)

煮零れや今日一日を狂わずに
いくさ止む蛇滑らかに崖登る
(大牟田/高田 泰夫)

黒い虹を見た日訃報がまた続く
カサカサの骨を敲いてチンドン屋
(亀山/坂倉 広美)

口裏を合わせるシャガールの夢と
ポケットが浅く好意をすぐ零す
(大川/渡邊 桂太)

一本の桜に逢いに紅さして
ぶつかってばかりの青いかもめです
(岐阜/堀 久美子)

深呼吸すれば全てが腑に落ちる
濁らないように私に注ぐ水
(中津/和才 美絵)

約束の日まで宥めておく火種
エコバッグ夕陽残らず詰め込んで
(松江/清水美智子)

なめらかな喉越しだった詐欺だった
トンネルを抜ける確かな骨密度
(横浜/原田 順子)

存在証明 裸足の跡をつけておく
うつし世や泣いて喜劇のくり返し
(今治/村上 久美)

握る手が熱い生き方違っても
赦さないこともつっかい棒になる
(福津/長井すみ子)

モジリアニの女の首になってゆく
ガラス踏むような日々でも三度食べ
(いわき/真弓 明子)

宿題がまだ終らないこの世です
眠れない夜を漕ぎだす銀の櫂
(和歌山/木本 朱夏)

夏いろの風がわたしを呼んでいる
嘘は上手に裏切りはいと美しく
(京都/宮原 せつ)

北の窓から地平線まで荒野
ペンを持ったまま安楽死ならすべて
(津山/土居 哲秋)

メンタルの弱さを晒す地震禍
三界におんな独りの櫓が軋む
(荒尾/松村 華菜)

オブラート溶けて戦が胃に残る
手の平に残る程度に愛される
(北九州/楠根はるえ)

草原を走り疲れて馬頭琴
さよならの温もり右手から暮れる
(松江/石橋 芳山)

燃えている間に狂えたら勝ちね
イメージをどんどん崩す私流
(三重/青砥たかこ)

流暢にお手を拝借するいのち
掠り傷へ希望をくれたエピローグ
(都城/主税みずほ)


~前号「葦の原」鑑賞・第37号(大西泰世選)より抜粋~
ページからはらり零れてしまったわ(柴田 美都)
コツコツと生きてコツコツ死に向かう(緒方 章)
お喋りの裏の無口を知っている(西岡 南風)
言い負けて爽やかな風持ち帰る(大河原信昭)
ブルースを唄えば泣けてくる港(熱田熊四郎)
自分史が未完のままで立ち枯れる(野村 賢悟)


~課題「防ぐ」(西岡南風選)より抜粋~
主婦という肩書き何だって防ぐ(青砥たかこ)
いざという時はわたしが防波堤(松村 華菜)
スランプを防ぐこの指朽ちるまい(主税みずほ)
無防備な指でした君指すまでは(肥田木聞明)
特殊詐欺防いだ母と子の絆(さわだまゆみ)
万病を防ぐ笑いを売り歩く(下釜 京)
寝たふりを貫く今日は抱かれない(石神 紅雀)
抑止力にならぬ挑発する安保(土居 哲秋)
壊してはならぬこの星守らねば(堀 久美子)
九条を齧るネズミを蹴る世論(選者)


~課題「渦」(勢藤 潤選)より抜粋~
手を洗う秘密の渦を深くする(夏 夕子)
言い勝ってますます渦が太くなる(楠根はるえ)
看護師へ笑いの渦を巻いた母(さわだまゆみ)
偏差値のさけびが渦の底にある(主税みずほ)
さからわず渦にのまれている平和(青砥たかこ)
節くれた潮流やがて渦になる(石橋 芳山)
渦を巻く川に真実だけが浮く(清水美智子)
バカボンのホッペの渦は裏切らぬ(熱田熊四郎)
渦潮を乗り切る櫂を削りだす(荻原 鹿声)
大家族 渦楽しくも哀しくも(選者)


~「川柳葦群」夏の句会より抜粋~

宿題「ゆっくり」(真島久美子選)
落丁をゆっくり埋める三回忌(さわだまゆみ)
蒼天へゆっくり放つ再起の矢(松村 華菜)
春愁や日にち薬というけれど(梅崎 流青)
秒読みに入る余生はアンダンテ(砥川 房代)
人は人梅はゆっくり熟れてゆく(古賀 麗子)
コトコトと煮る正体が見えるまで(梅崎 流青)
鈍行であの日眺めた海の色(清野 玲子)
シンプルな時間だ一句二句三句(選者)

宿題「紳士」(吉開 綾子選)
五歳児の紳士に席を譲られる(さわだまゆみ)
律儀なるリズム紳士の靴の音(古賀 麗子)
ジョーカーを使わず潔く負ける(梅崎 流青)
紳士の仮面見破っている赤ワイン(さわだまゆみ)
名を棄てた紳士はいつか銃を持つ(真島久美子)
色落ちに注意紳士のまる洗い(木村 翔龍)
鞠の勘紳士嗅ぎ分け飛んで行く(選者)

「雑詠」(梅崎 流青選)
オスプレイのどかな里をかきみだす(寺町 和子)
音も無く散る究極の負け惜しみ(真島久美子)
自分より大事なものが無い月夜(真島久美子)
人を刺す言葉が欲しい夜もあり(吉開 綾子)
水無月の水に戻ろうかと思う(柴田 美都)
幾何の花の命を糧とする(柿添 花子)
砂時計の砂の一粒あればよい(選者)


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by ringo-utahime | 2016-07-04 16:39 | 川柳誌 | Comments(0)