「川柳葦群」第33号

「川柳葦群」(柳川・梅崎 流青編集発行)第33号を紹介。

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~葦の原推奨作品(梅崎 流青選)より~

ドーナツの孔が安心出来る場所(板垣 孝志)
転んだら影とひとつになりました(清水美智子)
運命線横切ったのは誰だろう(木本 朱夏)
太陽は大きなカゲもつくり出す(和才 美絵)
体温の高さで溶かしたい誤解(青砥たかこ)
生き死にのことには触れず茶を啜る(吉開 綾子)
落としたら割れる玉子も言霊も(長井すみ子)


~川柳葦群抄より~

千手観音でも持てあます核のゴミ
日だまりで眺める祖父の従軍記
白無垢を盤若に巻き戻す妬心
モスキート音 少年ひとり狂わせる
クリエーター気取る少女のラブレター
(宮崎/さわだまゆみ)

涙より重い言葉が見当たらぬ
春だから甘いお菓子を二つ買う
滝になる涙おろおろおろ私
偽善かもしれぬおもちゃを買い続け
母親になれず姉ちゃんにもなれず
(佐賀/真島久美子)


~前号「川柳葦群抄」鑑賞(新家 完司)より~

親殺し子殺しどこまでの輪廻(木本 朱夏)
生いたちはみんな知ってるお月さま(米谷あや湖)
人間の顔が重たい雨ん中(木村 翔龍)
流されるままに明日のドア叩く(古賀 麗子)
不器用な妹まっすぐに飛んだ(真島久美子)


~近詠「葦の原」(梅崎 流青選)より~

どこまでを抱いているのか月の色
道端に転がる相応しい明日
メールする指がこんなに痛い夜
悪役に徹して月が欠けてくる
直球の質問夜を深くする
縫い糸と縫い針口を出しなさい
単純な思考回路に花の束
(佐賀/真島久美子)

テーマパーク春の迷路がかしましい
月影に刹那の刻を生み落とす
水鏡ゆらす男の喉ぼとけ
イントロが幻想を呼ぶ春の恋
去ってゆく男の背の色即是
バツイチの家系ですねと花吹雪
鬼も蛇もゆっくり流す桜雨
(宮崎/さわだまゆみ)

証言テープごくりごくりと唾のむ
指のはざまを険しい母の時が逝く
カリスマの裏でしきりに吹く嵐
少年がふる里列車を探してる
いい風が母の旅路で褪せてゆく
魔術師の祈りを裏で見てしまう
(都城/主税みずほ)

美しい白紙答案のカナシミ
果てしなく失敗重ね生きていく
レモン切るさわさわさわと唾液腺
母さんをもう騙さない騙せない
串刺しがいろりを囲む酒二升
殺します殺しますよとテレビから
(鹿児島/石神 紅雀)

語ろうか脳の手帳が喋りだす
捜してるまた探してる俺の首
優しい娘の独り身案じつつ頼る
妻の出す料理のコクで飲むお酒
足こそは生命のポンプ速歩遅歩
肩がきは雑用係として生きる
(宮崎/西岡 南風)

屋根裏の奇蹟に会いに行く帰郷
仁王の目やっぱり嘘を見抜いてる
ひと言がドスンと腹に効いてくる
理不尽に包囲されてる句読点
無人駅ふっと童話に囲まれる
柔らかい風が生まれる国訛り
(宮崎/肥田木聞明)

しあわせの色を探して夢を編む
やり遂げた満足はまだほど遠い
笑う日も泣く日もあった崖っ淵
申告を済ませ二月の暦繰る
身軽さになりたく風に頼り切る
(福岡/石田 酎)


~前号「葦の原」鑑賞〈第32号〉(大西 泰世)より~

常温に戻ると湧いてくる未練(長井すみ子)
畦道の握り飯まで遡る(横尾 信雄)
思い出は洗い過ぎないようにする(清水美智子)
邪魔立てはさせぬ私の朝が来る(吉開 綾子)
山紅葉人の世どうであろうとも(清野 玲子)
雑草に生まれて神に感謝する(大屋 夏子)
猫を抱く詩人のどこまでも無口(さわだまゆみ)
鈍行の終着駅に影と降り(野片 義博)
シングルの空の青さへ虹を足す(主税みずほ)


★エッセイ「てんてん手毬の手がそれて」(淡路 放生)

★エッセイ「かこ いま これから」(萩原 鹿声)



▼課題「空」(和才 美絵選)
空欄に独りぼっちを埋めている(肥田木聞明)
人間が好きで大空よく喋る(石田 酎)
さくらさくら空家に残る三輪車(奥村美枝子)
佳作 この空が飢餓の国へと続くのか(清野 玲子)
佳作 色即是空唱え漕ぎだす恋の舟(さわだまゆみ)
特選 青空を四つ折りにして持ち歩く(石橋 芳山)
軸吟 色めがねかけると変な空になる(和才 美絵)

▼課題「毀れる」(肥田木聞明選)
毀れてるオモチャの脳に似てきたな(西岡 南風)
美しいなみだ毀れる子の叫び(石田 酎)
刃毀れの包丁が知る夫婦仲(さわだまゆみ)
人間が毀れるネット見つめてる(阪本ちえこ)
佳作 毀れても毀れてもなお子を思う(中川しのぶ)
特選 少しずつ毀して生きる一人称(夏 夕子)
軸吟 刃毀れと一笑に付す父の老い(肥田木聞明)


~「川柳葦群」春の句会より~

宿題「宿」(石田 酎選)
廃校を民宿にして過疎の春(松村 華菜)
宿を出て風の一つになってみる(梅崎 流青)
ネットカフェ定宿にして深い闇(さわだまゆみ)
雨宿りしては残り火また燃えて(木村 翔龍)
父が往くやはりこの世は仮の宿(砥川 房代)
山の宿手紙一通書き終える(梅崎 流青)
充実のひと日の夢は隠れ宿(石田 酎)

宿題「担ぐ」(松村 華菜選)
担がれた御輿と気づく会議室(さわだまゆみ)
天変地異神が片棒担いだか(横尾 信雄)
未来への夢を担いでただ走る(石田 酎)
縁起物春のスタート台にいる(真島久美子)
そして母昭和担いだまま眠る(梅崎 流青)
片棒を担いで冬の月になる(真島久美子)
失った月日担いで廻る木馬(梅崎 流青)
冗談がすぎて片棒担ぐ破目(松村 華菜)

宿題「雑詠」(梅崎 流青選)
花の名をひとつ覚えた墓参り(大屋 夏子)
嗅覚が男を棄てるおぼろ月(さわだまゆみ)
陽だまりで私の影が歩いてる(松尾 涼)
それなりに生きて笑顔の現在地(石田 酎)
思い出の一つが月を遮断する(真島久美子)
ロボットと恋する美しい堕落(さわだまゆみ)
ふで箱の中でひみつが動いてる(松尾 涼)
同じこと考えている桜の木(真島久美子)
この世から少し外れて咲いている(柴田 美都)
春雷の不意に男の子は男の子たり(梅崎 流青)


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by ringo-utahime | 2015-04-06 23:58 | 川柳誌 | Comments(11)

Commented by kojiro-nomama at 2015-04-07 10:51
りんごちゃん
川柳葦群UPありがとうございます。
忙しいのに本当に何時寝てるのでしょうか?
まさに完璧に事を熟す人ですね!!
でも寝る時間だけは確保しましょうねщ( ̄∀ ̄)ш
Commented by ringo-utahime at 2015-04-07 21:12
さくら草さん、ありがとうございます。

「葦群」は相変わらず人気の川柳誌なので、末席に名を連ねている私まで嬉しくなります。

今夜からまた気温が下がっているようですから、くれぐれもご自愛くださいね。

(^-^)/
Commented by synjyoko at 2015-04-08 20:43
みんなみんな、いい句ばかりですね。
アップお疲れさま(*^^*)
Commented by ringo-utahime at 2015-04-08 20:51
紅雀さん、ありがとうございます。

「母さんをもう騙さない騙せない」………佳句ですね。

m(__)m
Commented by synjyoko at 2015-04-08 21:14
介護したものの本音ですよね。ありがとうございます。
Commented by 久美子 at 2015-04-09 16:56 x
まゆみさん、たくさん載せてくれてありがとう!
葦群…すごいよね〜。
こうやって改めて読むと、また雰囲気も変わってくるね*\(。・∇・。)/*
Commented by ringo-utahime at 2015-04-09 17:07
久美子ちゃん、コメントありがとうございます。

葦群には、憧れの川柳作家がいっぱいです。

「私も頑張らなくっちゃ」とパワーをいただきます。

p(^^)q
Commented by めぐみ at 2015-04-10 07:42 x
読み応えのある作品群に圧倒されています
一句ずつゆっくり味わって読まないともったいないですね
すごい柳誌を覗かせてもらってありがとうございます

お誕生日には新しい一着を求められましたか^^
ますます輝く一年になりますように!
Commented by ringo-utahime at 2015-04-10 07:51
めぐみさん、コメントありがとうございます。

人の佳句に触れると、自分の未熟さを思い知って、たまらなくなる時もあります。

「ナンバーワンにならなくていい、オンリーワン(の川柳作家を)目指そう」と自分自身に言い聞かせる日々です。

(*´∀`)
Commented by なりひら(別名しっぽ) at 2015-04-13 22:54 x
りんごさんの格調高い川柳に比べれば低俗な川柳を作り続けています。56歳は驚き。どうみても10歳は若く見えます。
Commented by ringo-utahime at 2015-04-13 23:01
なりひらさん、ありがとうございます。

この先、60才、70才になっても、胸を張って年齢を言える生き方をするつもりです。
それが、私の考える真のプライドです。
ジタバタせずに現実を受け入れて、常に自分らしく、今を切に生きます。

( v^-゜)♪