「川柳くすのき春季号」(第113号)

福岡市の「川柳くすのき」(冨永紗智子会長)春季号を紹介。

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~新樹抄〈新春号〉推薦と鑑賞(松永 千秋)より~

退屈なおとこだ何処に捨てようか(前田須美代)
妙薬が変な時間に効いてくる(倉本美智子)
ケチャップを塗って明るい空にする(柴田 美都)
好きですと言わないためのハッカ飴(さわだまゆみ)
おお神よ いいタイミングみのがした(安西 夏海)
書斎から波打ち際の音がする(水谷 そう美)


~近詠「新樹」(自選句抄、119名参加)より~

ひな壇を出そう うちにも春の来るように
みるく色処女卒業の朝まだき
恋かしら微熱を抱いた冷蔵庫
鬼は外優しい鬼は来ていいよ
未来までゴトウケンジの風よ吹け
(鹿児島/石神 紅雀)

孫誕生新春に重なる祝い事
切り札としっかり生きる肚の中
優柔不断わたしを残すパスワード
入念にいのちを磨く白い部屋
終章の美学しっかり生きるまだ
(福岡/石田 酎)

もう一度生まれ直した夢を見る
薄味に慣れればそれも妻の味
友達をつなぐスマホの薄い縁
飛梅の様な女と結ぶ糸
寒風に負けじと梅が春を呼ぶ
(春日/内野童里夢)

地に足がついた男の株上がる
自画像とわからぬように塗りつぶす
カレーに銀の匙しゃれた祝祭日
向う傷ばかりが増えて老いぼれる
早春に妻と見つけたブーメラン
(熊本/黒川 孤遊)

お日様のリーダーが呼ぶ春の詩
終章の画布へも母は青い空
幻想に揺れて紅ひく水鏡
失くした夢 月にささやくホームレス
家裁の灯 泣いているのは男だけ
(宮崎/さわだまゆみ)

ヘビの穴ほどのお城でございます
ひとりだけ色づくなんてずるいわよ
一日に一回砂を吐いている
ワタクシに誰か触った跡がある
どうしようまだら模様になっていく
(福岡/柴田 美都)

神の世に近づくような母の旅
七癖が八癖になった日の誤植
にぎりめし母は白さに揺れている
人権を小走りにゆく風の中
そりが合うそんな尻尾を持ち歩く
(都城/主税みずほ)

たくさんの笑顔生まれる新生児
先人の知恵が残した臥龍梅
祭り好き異郷にいても血が騒ぐ
絵手紙が癒してくれた失意の日
騒がれて地下に潜った汚染水
(福岡/山下 唱悦)

途中下車ひと刻溶かす花がすみ
春がすみ海馬の糸が絡みだす
三択の一つに答え見つからぬ
割り切れる数字正解なのだろう
円周率と 男とは 女とは
(福岡/冨永 紗智子)


~課題吟~
【蝶】(吉富 廣選)

終業ベル働き蜂が蝶になる(横尾 信雄)
今は芋虫いつかは蝶になってやる(石神 紅雀)
初蝶に祝福されている受胎(さわだまゆみ)
黒揚羽過去の汚名が拭えない(冨永紗智子)
さえぬ服脱ぎ捨ててから蝶が舞う(黒川 孤遊)
脇役に浮かれた蝶が来て止まる(主税みずほ)
紅つけて飛び立つ蝶の好奇心(平城千代子)
噂ばなしの好きな蝶かも寄ってくる(長井すみ子)
パスワード蝶の軽さで生きている(石田 酎)
蝶が舞う下でときめく花の芯(吉富 廣)



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by ringo-utahime | 2015-04-13 23:27 | 川柳誌 | Comments(0)