「風花抄」安田翔光川柳句集

香川県在住の安田翔光さんの川柳句集「風花抄」を紹介。

127ページ。
シンプルな装丁に心が安らぐ。
300句あまりを掲載。
序・破・急の三章に分けられる。

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大太鼓 みんな黙れという響き

ややあって 叱りすぎたとおもう父

笑えない喜劇 泣けない悲劇だな

トランペッターの指は孤独に満ちている

酔いどれを迎えてくれる 珠のれん

星ひとつ ふたつ 数える肩車

戯れに「異国の丘」は 歌うまじ

気の弱いトマトで 捥がれても熟れる

雨に泣き 雨に躍りて 農奴かな

応えてはならないものに 花言葉

泣くために 人は生まれてきたのです

眠れないわけは 拳が固すぎる

屋台曳く男を見たら 追い越すな

女ひとり 騙しおおせぬままに 春

来世まで誓い 悲喜劇はじまりぬ

トラックを飾る孤独な 男たち

バンザイの形で 虫が死んでいる

寝たきりを看る 贖罪をするように

黒髪の長さは 業の 深さかも

人の世の 節目節目にある 涙

灯を点けてごめんよ 泣いていたんだね

つみぶかい約束をして 軽い足

何事もなかったことにする 化粧

敗けてきた男の膝が好きな 猫

菩薩とも見まがう 臨月の 娘

使用済みテレカが秘めているドラマ

目的がない旅人で 混む 駅舎

はかりごと 幻想曲を聴きながら

老いたりといえども 現役の不良

自分史の赤いページに棲む 女




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《著者略歴》

安田 翔光(やすだ しょうこう)

昭和14年生まれ、本名・昌幸
昭和33年 八ヶ岳経営伝習中央農場本科卒業(現・八ヶ岳中央農業実践大学校)
昭和48年 番傘一般近詠初投句
昭和51年 番傘川柳本社同人
昭和53年 本名から将幸に改号
昭和56年 稲井電子工業㈱入社
昭和59年 四国柳壇(四国新聞)ゲスト選者
平成 3年 将幸から翔光へ用字変更
平成 8年 四国柳壇ゲスト選者
平成10年 川柳句集「風花」発刊
平成12年 ㈱日本グレーン研究所へ再就職し勤続中
現在 祥柳舎代表
(一社)全日本川柳協会 個人会員



『風花抄』
2016年6月26日 初版
著者/安田 翔光

発行人/松岡 恭子
発行所/新葉館出版


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by ringo-utahime | 2016-09-30 01:01 | 川柳本 | Comments(2)

Commented by h82261765 at 2016-09-30 16:28
四国の川柳ですね。わかりやすく好きです。
Commented by ringo-utahime at 2016-09-30 17:06
清展さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

やっぱり、その土地土地で、作風が変わるものなのでしょうか?

翔光さんの句、わかりやすくて、やさしくて、時にはちょっと色気もあって、良いですよね。

(*^^*)