『鏡』川柳

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写真のコンパクトの鏡は、昔、お客様からいただいたもの。
〈北の国から〉とあるので、北海道のお土産だったのかも?

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愛用の鏡は、友人のMちゃんからのプレゼント。台座の水中花がお洒落で気に入っている。
写真は、横から撮影。


鏡の起源は人類と同じほど古いと言われる。最古は〈水鏡〉。

鏡に映る姿が自己であることを知るのは、自己認識の第一歩。
これを《自己鏡映像認知能力》と呼ぶ。
チンパンジーの他に、イルカ、ゾウ、カササギ、ブタなどには、この能力があるらしい。


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課題「鏡」の川柳を集めてみた。

【鏡】
旅の駅鏡の中の我に逢う(久米 鳴石)
今日からの孤独をうつす鏡ふく(篠崎扶美子)
ひとり生きて鏡に行って参ります(櫛田 信子)
こころ売る日の鏡から逃げている(片岡 直人)
鏡よ鏡美しくなれ若くなれ(池田香珠夫)
映るものみんな鏡にして女(中村 柳児)
モナリザの微笑真似してみる鏡(高橋 紀代)
本当の顔は鏡に映さない(長谷川伸司)
ただ事でないと見抜いている鏡(岸田喜志三)
晴れ着きて鏡がこわい五十妻(内田 松風)
ふけたなと呟く鏡の中の影(横田 庄治)
嫉妬した顔を鏡がたしなめる(小林 敬山)
美しい過去は鏡の底へ埋め(杉 久美枝)
三面鏡その一面に鬼が棲む(大橋 一正)
笑顔三つうれしい朝の三面鏡(吉田 半平)
化けすぎへ三面鏡があざ笑う(大道 美乙女)
三面鏡命あずける人が出来(石井 青馬)
手鏡へ女の業を溜めて老い(佐々木鶴江)
老いてなお女が匂う鏡かけ(千手 澄)
真実を映す鏡をよく磨く(松田 千鶴)
生きざまを映す鏡はヨイショせず(清川眞喜子)
空振りもあろう鏡に言い聞かす(中島 和子)
見えぬ目に鏡は要らぬ紅をひく(水田 弘子)
美人だと暗示をかけて見る鏡(十川 寿美)
若さまだあると鏡に言いきかす(工藤 華代)
鏡よかがみも少し鼻が高ければ(吉道あかね)
鏡台が毎日無理を聞いている(吉崎 柳歩)
イーをして鏡にイーをされている(井上恵津子)
自己嫌悪鏡にうつる有頂天(福田 淳子)
君らしく生きているかと問う鏡(遠山しん平)
いつからか鏡の中に親の顔(奥田 音野)
春の雪合せ鏡の中に降る(西野 秋子)
鏡の中で女になってゆくわたし(佐藤 良子)
鏡かけはずすと沖の灯が見える(本多 和子)
鏡からもらう晴れの日くもりの日(堀田 英作)
幸せになるハズだった鏡掛け(樋口すみ江)
寂しくて話しかけてるドレッサー(小松 扇栄)
鏡にも言い分があるパフの音(佐々みつを)
鏡台に座ると母でない女(高橋 双葉)
少年の鏡に写る海と空(中村迷々亭)
母さんの野良着が好きな水鏡(広瀬 恭子)
躾など女の鏡母の帯(白幡 恒夫)
羞恥心死語に車中のコンパクト(佐藤 正)
身の程を知った鏡の乱反射(小林 宥子)
水鏡女の性を見てしまい(丸山 英柳)
複製の私がねむる水鏡(岡崎 守)
愛してはならぬコンパクトが揺れる(中野のぶ子)
鏡から魔女が抜け出て散歩する(大島 洋)
鏡磨くと浮いてくる生年月日(櫟田 礼文)
孔雀老い昨日ばかりがある鏡(岡崎たけ子)
美しく老いる鏡は道しるべ(成岡 美々)
まだ女そっと鏡を忍ばせる(大野 文子)
生き様を鏡と思う母の背(竹島 洋子)
戻らない歳を鏡が写し出す(千葉 ハマ)
未だ野心確と抱いてる古鏡(川原 邦雄)
心まで映す鏡にたじろぐ日(嶋 稜子)
マアー綺麗鏡のおだて載ってみる(東海林定子)
長生きがまだまだ出来そう鏡見る(森 ひでや)
決して握手してはくれない鏡(中村まどか)
なるようになると鏡も言っている(吉崎 柳歩)
誰かしら鏡の中のおじいさん(佐藤 彰宏)
いい顔に映る鏡を置いている(宇都宮ちづる)
女坂うぬぼれ鏡拭きながら(西出る 楓楽)
指で髪梳いて鏡の熱の顔(川崎ふみこ)
ひとりずつ鏡の中をゆくゲーム(西田 雅子)
口紅を塗ると安心する鏡(山本 乱)
逢いにゆく鏡に炎える火を隠す(細田 陽炎)
愛の字に拡大鏡を当ててみる(泉 比呂史)
明るさの程よい距離におく鏡(佐藤 明子)
朝ごとに話す鏡を拭いている(深田 倶久)
朝の紅笑顔繕う姫鏡(阿久津さと子)
あっさりと負けを認めている鏡(竹森 雀舎)
雨あがり雀がのぞく水鏡(松元シルビア)
合わせ鏡で反対論をチェックする(吉松 澄子)
いい事があって鏡が良く笑い(軍司百合江)
いいことがあるな鏡が呼んでいる(高塚 英雄)
癒えた日の母と鏡の中にいる(江原佐智子)
一枚はまだ澄んでいる三面鏡(徳田ひろこ)
今更と鏡に見入る顔形(中川 洋子)
嘘ついた俺が鏡に映らない(鈴木 久樽)
嘘つけぬ鏡の顔をいとおしむ(紅野さゆみ)
美しい角度を探る三面鏡(岡田かすみ)
美しい過去は鏡の底へ埋め(杉 久美枝)
美しく出来たと鏡誉めてくれ(稲葉 博雄)
海に出るまでの鏡を一つ買う(舟橋 伸)
置き去りの鏡に入る老い二人(石田 泰照)
起きぬけの鏡わたしに角がない(中井 ふみ)
墜ちてゆくこころ見すかす三面鏡(森中惠美子)
おばさんと呼ばれ鏡で確かめる(岡崎 甫子)
おまけです鏡の中の生年月日(長谷川典子)
思い出を鏡にうつし紅をひく(中村 慶己)
面長に映る鏡は在庫切れ(大島 仁章)
悔恨は拭えず朝の三面鏡(岡田かすみ)
快方に向かい鏡が欲しくなる(清水 禎子)
顔洗う私と鏡の中の僕(奈倉 楽甫)
鏡掛けもふとんも鶴で日が迫り(岸本 水府)
鏡掛の中へ慕情を眠らせる(本田 輝子)
鏡からイエローカード渡される(澤登 一隆)
鏡からかすかに呼吸洩れて来る(小林 昭男)
鏡から心みられるのも日課(中武 重晴)
鏡からたしなめられるはいチーズ(安坂富士男)
鏡には映らぬものを探してる(木村 隆)
鏡には笑顔を見せたことがない(岸本 宏章)
鏡の中女の性が生きている(堀 かずみ)
鏡の中で水仙になるバラになる(森中惠美子)
鏡の中に父の影母の影(あきたじゅん)
影拭く少女に潮が満ちてくる(今田 馬風)
鏡みて自画像紅をひき美人(橋爪 喬木)
鏡見て祖母はニッコリ化粧する(堀川 幸子)
鏡見て乱れをチェック会いに行く(大田 秀美)
鏡見て我が顔しわ増え驚けり(高橋 道平)
過去写す鏡を捨てた第二章(布佐 和子)
かみそりが鏡台にあるおそろしさ(森中惠美子)
川の面を鏡に春の身だしなみ(山崎すまこ)
着て脱いで鏡が笑う試着室(大川 安弥)
宮殿の鏡何でも知っている(中野 山行)
鏡台に向かい哲学ぶちまける(平田 朝子)
鏡台の裏にしまっておく素顔(松本あや子)
鏡台の前を動かぬいぼ蛙(冨金原佐吉)
鏡台へ一寸と思ひ五分経ち(椙元 紋太)
逆切れの嫌な自分を見る鏡(大木 雅彦)
逆流の掟鏡の母を看る(船木 千夢)
曇りのち晴れです鏡拭いたから(安土 理恵)
黒幕は三面鏡に映らない(板尾 岳人)
この辺でいいと鏡が妥協する(八木田節子)
子は親の鏡と思う日の自省(水江マツ子)
これからの顔確かめる古鏡(中村はるゑ)
こんな筈ないと鏡を拭き直す(梶原 勝雄)
歳月を鏡の中に埋めていく(平田 朝子)
最高の顔を鏡で確かめる(山本 照男)
倖の死角鏡が憎らしい(田中八洲志)
三面鏡どれも自分の顔が無い(伊藤 英龍)
三面鏡のひとつにまごころが映る(浦 眞)
三面鏡秘密ピシャリと閉じ込める(福島すま子)
三面鏡老けたもんだと六つの目(河合 守)
三面鏡別居の気持ちまた変わり(正漢 都)
三面鏡みんな違っている呼吸(浦 眞)
三面鏡四人の美女に死角なし(名嘉真宣京)
しあわせが欲しいと思う鏡かけ(森中惠美子)
幸せな振りに疲れて来た鏡(興津 幸代)
試着室の鏡に魔法かけられる(武藤 敏子)
シャワー全開鏡に自信とり戻す(平田 朝子)
修正の効かぬ鏡に八つ当たり(中原 政人)
勝算があって鏡へ笑み返す(佐藤 美文)
正直な鏡が占める顔の皺(蔀 帆子)
正直な鏡だ何も隠さない(福力 明良)
正直な鏡をうらむ自尊心(金澤 松風)
正直な鏡をひとつ持たされる(澤田 治子)
正直に生きて鏡に嗤われる(加藤 蛙生)
正直に生きる鏡を拭いておく(平田 安子)
正直に私を刻む古鏡(笹沼 操)
職安の鏡笑顔が映らない(望月たか美)
心底を見抜かれそうな三面鏡(安孫子我勝)
自分史の鏡に綴る巻頭句(岡 智英子)
自分史の影も映している鏡(松尾 和香)
自分用の鏡は少し曇らせる(松崎 春子)
自慢げに映る鏡の薄笑い(平元 和夫)
素っぴんがいいと鏡に皮肉られ(添田 健夫)
青春があった顔かと鏡ふく(山口 松枝)
責任を持てと鏡に諭される(酒井 一壺)
背筋のび着物姿の鏡前(塩谷 久美)
銭湯の鏡都会を知りはじめ(成貞 可染)
空澄んであなたの秘密知る鏡(相田 柳峰)
それなりに映る鏡の晴れ曇り(渡辺八重子)
立ち入った事をたずねてくる鏡(浦 眞)
手鏡に映す真昼のひとりごと(渋谷 博)
手鏡に素顔隠した顔映る(森島 晟)
手鏡の合図も一度仲直り(真栄城 艶)
手鏡の底で見果てぬ虹を編む(鈴木 瑠女)
手鏡の亡母の笑顔をはなさない(二宮 栄子)
手鏡へ女の絆としがらみと(高橋あさ子)
手鏡へ輝く明日を予約する(加藤木恵美子)
手鏡を抜けるまぎれもない原野(三村 悦子)
手鏡を覗けば老いが忍び寄り(大田かつら)
鉄幹の鏡に妻が映らない(吉田 藤朋)
哲学は鏡の奥に寝かしとく(小林 勝一)
天敵が見える鏡を拭いている(伊藤 翠庵)
等身大映すと鏡嗤い出す(石谷 正美)
歳というもので鏡にはなしかけ(森中惠美子)
嫁ぐ娘の鏡の中に父がいる(山崎 正信)
どの顔にも鏡は媚びたことがない(松尾 龍男)
泣き顔は鏡の裏へ吸い取らせ(大前 安子)
何となく嫌いになってきた鏡(佐瀬 貴子)
にらめっこすると鏡にすぐ負ける(野谷 竹路)
人間の中身を問うている鏡(辻内 次根)
覗きこむ鏡の前の高望み(斎藤松太郎)
覗く目に鏡の奥で媚びている(波部裕具子)
八十の年波うつす初鏡(宝利 磯子)
初鏡歳は数えぬことにする(長川 幸代)
化けさせて鏡の中にいる私(黒川千枝子)
化けすぎへ三面鏡があざ笑う(大道美乙女)
ばらばらに三面鏡がする主張(岡村水無月)
髭ぐらい剃れと鏡に睨まれる(藤田 雪魚)
火だるまと私が写る三面鏡(福室 忍)
昼の月鏡の奥へ誘われる(橋本 祐子)
貧乏をうつす鏡に娘が四人(十河 東蘭)
老けてゆく顔に容赦のない鏡(寺嶋瑠美子)
ブティックの鏡はいつも長い足(中川めぐむ)
紅を引く鏡に妻の他人めく(池田与四也)
ほほえめば鏡も美女にしてくれる(安田 直枝)
ほめられて鏡の前に立っている(吉新 勝夫)
本妻の意地が鏡の裏に棲む(丸山希久代)
孫娘鏡の前にハイポーズ(仲程与四子)
まず一歩踏み出せたね鏡笑む(庄司 蜜柑)
まだ女三面鏡の隠し芸(三重野冠柳)
まだ蕾春の鏡がよく笑う(兼山美代子)
町並を写して鏡運ばれる(岸本 水府)
豆電球鏡に写る美人顔(石田 博子)
眉をひく鏡をつつむ夜のこころ(松浦寿々奈)
満月を鏡に余生丸く住む(為永 義郎)
磨かれた鏡と対峙して孤独(小林 映汎)
磨かれて嘘がつけなくなる鏡(山田 順啓)
湖の鏡で化粧直す月(宮本彩太郎)
水鏡こころの鬼がゆれている(中田たつお)
身の程をうつす鏡を手放せぬ(鈴木 栄子)
明鏡止水がんと握手をして暮らす(高瀬 霜石)
やさしさが欲しくて鏡拭いている(福井 菜摘)
夜が明ける鏡で今日の顔作る(松井 福朗)
よく透ける鏡のうらに海がある(岩見 民子)
ルージュひく心を覗きこむ鏡(松井紀代司)
若い気でいても鏡が許さない(伊勢八重子)
笑ってごらん亡母の言葉の棲む鏡(八木 礼子)
卑弥呼から鏡に囲まれて女(日野 愿)
鏡にもソフトフォーカス加工する(岡内 知香)
姫鏡今は発酵する時間(川上 富湖)
鏡の中のうしろ姿よ歳月よ(辻 スミ)
妬心きりきり どの鏡にも鬼がいる(マサ子)
過去を拭くように鏡を磨く指(美沙緒)
愛憎の記憶を畳むコンパクト(脩)
それなりに写し鏡台睨まれる(かん)
ほつれ髪合わせ鏡に浮く孤愁(寥子)
一対の反射鏡だよ夫婦とは(正祥)
割れた鏡に百面相の私(末子)
鏡拭く殺せぬ鬼と蛇行する(嘉彦)
はずかしい私になっている鏡(政二)
片方はバックミラーになっている(匡太郎)
秋の雲だけが映っている鏡(裕見子)


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by ringo-utahime | 2016-10-10 23:45 | 川柳(課題別) | Comments(0)