「川柳番傘2月号」

番傘川柳本社(大阪市北区)発行の「川柳番傘2月号」を紹介。
146ページ。

表紙絵は「白梅」。

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~同人近詠(田中新一選)より抜粋~

《巻頭》
言い訳を雪に呟きまだ独り
病身の粥一碗に神宿る
(門真/坂本星雨)

捨てる力生きる勇気の顔になる
遅くないここはおんなの隠し味
(別府/小代千代子)

大やけどするワタクシの好奇心
わくわくと不幸話を聞きに行く
(佐賀/真島久美子)

難題を黙って飲んだのは女
山の端に夕日すとんと立ち話
(薩摩川内/石神 紅雀)

ネットカフェ孤独が深い25時
無念にも五欲の一つ消えました
(福岡/冨永紗智子)

借りみんな返したような富士登山
忠告を噛み締めながら見る夕日
(宮崎/中武 重晴)

悔しさにシャリシャリシャリと霜柱
着膨れた心を少し脱ぐことに
(宮崎/中武 弓)



~誌友近詠(森中惠美子選)より抜粋~


《巻頭》
胸の奥流れつづける里の川
また明日があるさと夕陽あたたかい
(熊本/原 萬理)

賞味期限切れて戻ってきたあいつ
信念が行方不明になって酔い
(宮崎/江藤九州男)

母の死をまだ受け入れぬ冬銀河
ベテランの寡婦を自負する冬花火
ぼやき酒くるむ場末の割烹着
自信過剰と欲の深さにやけどする
ジグソーパズル蹴飛ばしている離婚劇
(宮崎/さわだまゆみ)


初めての味噌汁妻は笑いだす
核心を突かれおどけてはぐらかす
(宮崎/日高 賀邁)

君なしでは生きてゆけぬとキリギリス
ひとつ灯の下でそれぞれ物思い
(鹿児島/馬場ナオミ)

北国の月はしんしん冷めたかろ
迷いですかゆっくり月が昇りくる
(薩摩川内/春田あけみ)

平穏なひと日を信じ紅をさす
如月の川が蛇行を許さない
(宮崎/永友 淳子)

感謝して明日に託した木守柿
子還りの母に優しい杖となる
(宮崎/肥田木聞明)



◆課題吟「睨む」(埼玉/青木 薫選)より抜粋

私の睨んだ人だ狂いなし(山下 華子)
三度目の遅刻みんなの目が痛い(馬場ナオミ)
寒風に負けじと睨む奴凧(平本つね子)
新型を睨み中古で我慢する(中武 重晴)
雲行きを睨んでやおら打って出る(安田 翔光)
働き過ぎを一番星に睨まれる(冨永紗智子)
夕焼けを睨み明日を読んでいる(真島 清弘)
原発の行く末睨み空と海(さわだまゆみ)
睨めっこ妻に全敗しています(鈴木 咲子)


◆イメージ吟〈No.16〉(大阪/西 美和子選)より抜粋
温暖化やがてこの木も絶滅種(太田ちかよし)
樹木にも大器晩成型がいる(松本 清展)
日本の森がこんなんじゃ困ります(横尾 信雄)
簡単な答えでしたね風は風(真島久美子)
千年を目指す若木の逞しさ(安田 翔光)
木の匙が母を童女へ巻きもどす(さわだまゆみ)
丘陵に夫婦の起点蘇る(日高 賀邁)
背伸びして浮いていたのは僕なのか(平本つね子)
太陽がもうすぐ出ます根っこから(坂本 常意)


◆各地句報12月句会より抜粋
《入来わくわく番傘》
迷信をひゅいと跨いで式挙げる(紅雀)
力量はここまでと知るペンの先(あけみ)
跳び箱にまず跨がって明日をみる(南風)
この線を越えると蝶になるらしい(孤遊)
水引いたあとの荷物が下ろせない(清展)
《宮崎番傘》
ひとりっ子肩に重たい介護持つ(せつこ)
押入れに戦後の暮らし置いたまま(喜宏)
終章は天に舞いたい花吹雪(敬女)
触るなと言いつつ握る介護の手(九州男)


◆友の会「方角」(京都/藤本 秋声選)より抜粋
建前の席で方角気にはせぬ(永友 淳子)
吉方を気にして決まらない進路(さわだまゆみ)
旋風方位決まらぬ風見鶏(富田 博)
方角を信じて歩き出す仲間(肥田木聞明)
あの世への迷路方角まちがえた(松本 清展)
逆方角今日も見ている風見鶏(太田ちかよし)



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by ringo-utahime | 2017-02-04 17:30 | 川柳誌 | Comments(0)