2015年 12月 30日 ( 1 )

「川柳葦群」第36号

「川柳葦群」(柳川・梅崎流青編集発行)第36号を紹介。

e0322827_09371458.jpg


~葦の原推奨作品(梅崎流青選)より抜粋~
柘榴熟れ妬心は今も爆ぜてい(萩原 鹿声)
早いもの勝ちネ逝くのも狂うのも(村上 久美)
滑らかになるまで嘘を噛み砕く(楠根はるえ)
憎み通す熱意があれば良かったわ(木本 朱夏)
空腹で秋のポストをまた覗く(真島久美子)
好きだった人の病を聞いて冬(さわだまゆみ)


~川柳葦群抄より抜粋~

ネクタイに頼る戦士で貌が無い
ふたこごろ懺悔したのは神父様
閉経はまだかと不躾な男
阿部定ほどに愛されたいと乞う男
銭の話好きな男の寒い酒
(宮崎/さわだまゆみ)


すがりつく神は邪険に手を払う
祈らねば それでも私祈らねば
(和歌山/木本 朱夏)

愛のないおんなが風の中に立つ
愛一途紙風船の見る夢は
(福岡/弘津 明子)

死神とベッドインならお断り
生きたくて枕の下に置くスマホ
(いわき/真弓 明子)

ほろほろと運命線を行く電車
釘踏んだ事が自慢の足の裏
(大和高田/板垣 孝志)

シナリオを胸の谷間に埋めておく
わたくしを拒み続ける橋ばかり
(福岡/清野 玲子)

曼荼羅絵母をやめたくなる時も
慰めはひとりで入る映画館
(佐賀/寺町 和子)

画像から探す花の名おとこの名
腹式呼吸うまくできない十二月
(福岡/柴田 美都)

秋しぐれ茫々たるや海馬病む
まろやかな話に乗ってしまう冬
(熊本/中川しのぶ)

煌々と月人愛さずにいられない
よじ登る梯子の途中火の匂い
(荒尾/松村 華菜)

未来図を出発点に置き忘れ
降り続く雨に不遜をくり返す
(糟屋/中村 鈴女)

ざっくざっくあの日学徒で征ったきり
新月にそっと謀反をうちあける
(佐賀/砥川 房代)

目覚めたら私無口な深海魚
裏切りの記憶の中にあるレモン
(筑後/木村 翔龍)

転がした嘘が巨大な雪だるま
片手では子育てなんか出来ません
(佐賀/真島久美子)


~近詠「葦の原」(梅崎流青選)より抜粋~

ひまわりを演じ続けるお人好し
百均のペアウォッチでも満ちる恋
子を産めぬ劣等感へ散紅葉
栄転の人へ別れの銀の雨
憎んでも愛してみても独りの夜
好きだった人の病を聞いて冬
認知症の母の時計に針がない
(宮崎/さわだまゆみ)


ゼロになり裏も表も見せておく
フライパン女の嘘がよく弾く
(松江/清水美智子)

ジェラシーを畳むと消えていたわたし
イソップの園から母が戻らない
(北九州/楠根はるえ)

コスモスになって順番守らない
知恵の輪を女心のように解く
(佐賀/真島久美子)

湯あがりの男の指に雪が降る
銀河鉄道行きの筋トレらしいのです
(青森/野沢 省悟)

以下余白これから荒れる予感する
信じてたことば別れの匂いする
(松江/内田 久枝)

木の洞に預けたままの日記帳
コスモスの花に逃げ込む微罪かな
(柳川/吉開 綾子)

ちらほらと彼岸へも来る年賀状
戦争を知らぬ子供が吹くラッパ
(いわき/真弓 明子)

円心のバラ一本が病んでいる
襖絵の猫が褒められ虎になる
(糟屋/河野 成子)

最終章さてこれからがおもしろい
次の世へすこし傾く冬薔薇
(福岡/柴田 美都)

タイムマシンあの日の罪に戻ろうか
曲線のないまつりごと勇ましい
(熊本/中川しのぶ)

ネタ切れを誰も笑わぬおさんどん
煮くずれる前に冷水くぐらせる
(三重/青砥たかこ)

笑うしかないな思いっきり転ぶ
やわらかな沈黙ならば抱かれたし
(大牟田/山下 華子)

少年の運命線は海が好き
疚しさが残るいのちと橋の上
(都城/主税みずほ)

あと一歩踏み込むボクのキーボード
痴呆症の母は優しい人を恋う
(福岡/石田 酎)

後押しをするよあなたを生んだから
春彼岸来世も君の妻となる
(鹿児島/石神 紅雀)

懺悔する海で私が救われる
ひと皮が剥けて台詞が光り出す
(宮崎/肥田木聞明)

目で読んで済まぬと思う子の点字
平和といい国を守るという戦
(宮崎/西岡 南風)


~前号「葦の原」観賞(第35号)大西泰世より抜粋~
天罰の一つ二つはこの身にも(原田 順子)
故郷に釘一本を打ちに行く(吉開 綾子)
もうすこし魚のままでいましょうよ(柴田 美都)
亡母に似た人としばらく駅の椅子(緒方 章)
罪人も詩人も生み落とす孤食(さわだまゆみ)
ゆで卵つるりと剥けた日の誤算(上田しずか)
日本地図やさしいかたちしているね(石神 紅雀)
夫とは別の夢見る冷奴(永戸 文恵)


~課題「人」三宅保州選より抜粋~
入選 人として散りたし満月に祈る(松村 華菜)
入選 わたしから生まれたはずの宇宙人(石神 紅雀)
入選 笑い呼ぶ人が持ってる薬箱(西岡 南風)
入選 青空が鬱になるほど人が好き(肥田木聞明)
入選 人気あるままで死にたい薔薇の欲(さわだまゆみ)
佳作 人波に押され孤独の海にいる(山下 華子)
佳作 信じよう砂漠で遭った人だから(佐藤 倫子)
特選 人情に触れ愛にふれ喪を抜ける(弘津 明子)
軸吟 人間が好きで人間やめられぬ(選者)


~課題「昇る」石神紅雀選より抜粋~

入選 ときどきは夫の崖をよじ昇る(平井 翔子)
入選 月へ昇る梯子いまだに見つからぬ(内田 久枝)
入選 後ろめたい影と一緒に昇る月(肥田木聞明)
入選 西からの陽を昇らせる独裁者(さわだまゆみ)
佳作 昇進をきっぱりと断つ母のまま(田中 笛奈)
佳作 昇りきるまでにやさしい月になる(清水美智子)
特選 レスキューのヘリが絶望吊り上げる(伊藤 縁太)
軸吟 頂上のはずが新たな段見える(選者)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

[PR]

by ringo-utahime | 2015-12-30 17:45 | 川柳誌 | Comments(0)